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映画『すばらしき世界』作品情報
今回の絶対おすすめ映画は『すばらしき世界』です。
映画『すばらしき世界』は直木賞作家の佐木隆三が実在の人物をモデルに書いた小説『身分帳』が原案になっていて、原作から35年後の現代に舞台を置き換えて映画化されています。
原作小説が実在の人物を描いた作品なので、映画『すばらしき世界』は実話と言えるでしょう。
映画『ゆれる』などで評価の高い監督・西川美和が監督をつとめ、役所広司を筆頭に演技派俳優が顔を揃えています。
それでは映画『すばらしき世界』の作品紹介です。
映画『すばらしき世界』は2021年に劇場公開された日本映画。
上映時間は126分。
原作は佐木隆三『身分帳』
監督は西川美和監督。
『ゆれる』『夢売るふたり』などを監督しています。
【キャスト】
三上正夫…役所広司
津野田龍太郎…仲野太賀
松本良介…六角精児
井口久俊…北村有起哉
下稲葉明雅…白竜
下稲葉マス子…キムラ緑子
吉澤遥…長澤まさみ
西尾久美子…安田成美
庄司勉…橋爪功
ほか。
映画『すばらしき世界』ネタバレ・あらすじ
殺人を犯して服役していた三上正夫(役所広司)が、刑期を終えて旭川刑務所から出所してきます。
三上は刑期を満了した現在も、自分の罪状に納得がいっていませんでした。
三上は遠ざかる刑務所に向かって「ざまあみろ!」と呟き、バスに乗り東京を目指しました。
三上は組には所属していなかったものの、ヤクザ稼業に身を置いていました。しかし刑務所を出所してヤクザ稼業に戻る気はありませんでした。
真っ当に生きることを誓い、保護士になってくれている庄司勉(橋爪功)を訪ねました。
庄司は妻と共に三上を温かく迎え入れ、三上はその温かさに触れて突然泣き出してしまいました。
三上は持病を抱えていることもあり、庄司とともに生活保護の申請に役所にやってきています。
担当の井口(北村有起哉)は最初は難色を示しましたが、庄司の発言が後押しとなり無事に生活保護が認められます。
しかし三上は自分が生活保護を受ける現実を受け止められずにいました。
三上は幼いころから施設で育っていて、母親の顔も知らずに大人になっていた。
人探しのテレビ番組で母親を探してほしいと希望していて、番組プロデューサーの吉澤(長澤まさみ)の目に留まり、吉澤は元スタッフで作家を目指している津野田(仲野太賀)に連絡をし、三上に密着取材するように頼みました。
津野田は前科者で刑務所に服役していた情報を聞いて腰が引けますが、生活費のためと思って吉澤の頼みを引き受けました。
三上は吉澤に自分の生い立ちや前科などが書かれた身分帳を吉澤に送っていて、津野田も身分帳に目を通します。津野田が三上に対してさらにビビったのは言うまでもありません。
持病が悪化したことで入院している三上の元に、津野田がやってきます。
三上は嬉しそうに自分の半生を津野田に語り、明るい三上に津野田は安心しカメラを回しながらインタビューをしていきました。
三上はなんとか仕事をしたいと考えていて、刑務所で学んだ裁縫を活かして内職をしようと試みます。
剣道の防具を編む内職をしようとしますが、経歴もない上に現在は需要も激減しているため思うように仕事は見つかりませんでした。
そんな中、スーパーで買い物を終えた三上は店長の松本良介(六角精児)に万引きを疑われます。
三上は万引きなんてしておらず、身の潔白を証明し松本は必死に謝りました。
この出来事をきっかけに2人の距離は縮まり、松本は三上の社会復帰を親身になって応援するようになりました。
三上はトラックなどを運転する仕事に就こうと思い立ちますが、服役中に免許が失効してしまっていました。
仕方なく一発合格を目指して免許試験を受けますが、運転自体が久しぶりなのであっさりと落ちてしまいました。
失意の中、三上は吉澤と津野田に誘われて焼肉屋に行きます。
吉澤は言葉巧みに三上をその気にさせ、テレビ番組に出演させる流れにもっていきます。三上は母親を探してほしい希望からズレていることを感じながらも、密着取材をOKしたのでした。
焼肉屋からの帰り道、悪そうな若者2人組に中年男性が絡まれているのを見た三上は、持ち前の正義感から放っておけず仲裁に入ります。
話はつかず人気のない場所へ移動することになり、吉澤と津野田はこっそりと後をつけます。津野田は吉澤の指示でカメラを回します。
三上は恐ろしい凶暴さと強さを発揮し、若者2人をぶちのめしてしまいます。若者の腹にかみついて引きちぎる光景を見て、津野田はその場から逃げ出してしまいました。
吉澤は津野田を追いかけて「カメラを回さないならケンカを止めろ!お前みたいなのが1番誰も救えない」と怒りを露わにし、その場を立ち去りました。
津野田は落胆して家路につきました。
三上は松本にテレビ番組に出演する話をしますが、松本は浮かない顔をして「見世物にされて利用されるだけなんじゃないか?」と心配しました。
三上は憤慨しますが、テレビ出演の話は進まなくなり途方にくれます。
ヤケを起こした三上はかつての友人であるヤクザの下稲葉(白竜)に電話をし、頼って福岡へと旅立ちました。
下稲葉は三上を接待しますが、実際はヤクザ稼業は下火になっていました。
ちょうど下稲葉の組が警察沙汰を起こしてしまい、三上は下稲葉の妻から餞別を渡され逃げるように言われます。
三上は後ろ髪をひかれる思いで東京へと戻ってきたのでした。
東京に戻ってきた三上は津野田と和解し、昔入っていた施設を訪ねます。
津野田はテレビ番組関係なしで、三上と付き合っていこうと思っていました。三上について本を書こうと決めていました。
三上は介護施設の仕事が決まり、険悪になっていた松本にも報告し、松本は心の底から祝福します。
庄司夫妻や津野田、松本で三上の就職祝いをして、自転車をプレゼントしました。
施設の仕事も順調に慣れていき、三上は生きていることを実感していました。
しかしある日、施設内で従業員に対するイジメがあることを知ってしまいます。
正義感の強い三上は一生懸命見て見ぬフリをしますが、ストレスとなって発作を起こしてしまいます。
さらにイジメられている従業員が台風の中で懸命に花を移動しているのを目撃し、さらにその従業員が「三上さんも持って帰る?」とコスモスを差し出してくれた時に、三上は涙をこらえきれなくなってしまいます。
三上は花を受け取って自転車を漕いで帰りました。すると元妻から携帯電話に着信がありご飯に行くことになります。
すべてが順調に流れいる中、三上は家に到着して大雨のため干していた洗濯物を取り込みます。
しかし、洗濯物が取り込まれたのは途中まででした。
衝撃のラストは本編をご覧ください。
映画『すばらしき世界』感想・評価
「役所広司さんの主演映画でこのテーマでおもしろくないはずがない!しかも『ゆれる』の西川美和監督だし」とかなりハードルを上げて鑑賞したのですが、映画『すばらしき世界』めちゃくちゃいい映画でした。
もうさすがというか、物語的にも切なくて生々しくて人間味あふれててホントに大満足でしたし、出演している俳優陣も皆さん芸達者で演技派の人ばかりで最高でした。
役所広司さんはホントにすごい俳優ですねぇ、もう三上という役は他の俳優じゃできないんじゃないかって言うぐらい、役を自分のものにしていた感じでした。感情的になりやすいところとか周りが見えなくなるところとか、前科のある人間のリアリティみたいなのをヒシヒシと感じました。
目つきというか目の深みというか目で見事に芝居してるんですよね、いろんな役を見事に演じる役所広司さんを見ると毎回「これがホントのカメレオン俳優だよ」って世間に言いたくて仕方なくなります。体重の増減なんかじゃなくて、もう生きてるキャラクターが違うんです。
そして仲野太賀さんもホントに素敵な演技で…。この人も本当に毎回演技が上手いなぁと感嘆してしまいます。映画『すばらしき世界』でもかなり重要な役どころを見事にナチュラルに演じていて、まだ若いのに変に「演技できますアピール」をしないのがいいんですよね、それでいてめちゃくちゃ上手いという。ラストのシーンでもわざとらしさゼロで見事な演技で引き込んでくれています。
他にも北村有起哉さんも六角精児さんも橋爪功さんもほかの出演者の人たちも本当に素晴らしかったです。
まさに映画好きにとって鑑賞している時間が「すばらしき世界」って感じでした。
人生というものについてもいろいろと考えるきっかけをくれる映画です。
明日から今よりも懸命に生きたくなる、そんな映画です。
心からおすすめできる映画です。まだ観ていない人はぜひ鑑賞してみてください。
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