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映画『12人の優しい日本人』作品情報
今回の絶対おすすめ映画は『12人の優しい日本人』です。
『12人の優しい日本人』は三谷幸喜さんの元々は東京サンシャインボーイズで上演された戯曲で、三谷幸喜さんが書きおろしまた出演も果たしています。
映画『十二人の怒れる男』のオマージュとして作られた作品で、映画『十二人の怒れる男』のパロディも取り入れられています。
舞台でも再演を繰り返された人気作品です。
それでは『12人の優しい日本人』の映画紹介です。
映画『12人の優しい日本人』は1991年に公開された日本映画です。
上映時間は116分。
脚本は三谷幸喜・東京サンシャインボーイズ。
監督は中原俊監督。
キャストは
陪審員1号…塩見三省
陪審員2号…相島一之
陪審員3号…上田耕一
陪審員4号…二瓶鮫一
陪審員5号…中村まり子
陪審員6号…大河内浩
陪審員7号…梶原善
陪審員8号…山下容莉枝
陪審員9号…村松克己
陪審員10号…林美智子
陪審員11号…豊川悦司
陪審員12号…加藤善博
守衛…久保晶
ピザの宅配…近藤芳正
映画『12人の優しい日本人』ネタバレ・あらすじ
(もしも日本に陪審員制度があったなら…という設定で繰り広げられる物語です)
季節は夏。ある殺人事件が起き、その事件を審議するために陪審員として12人の人間が集められます。12人は一般市民でもちろん互いに顔見知りということもなく、無造作に陪審員として集められました。
職業も様々で
陪審員1号(塩見三省)は女子高で体育教師として働いています。
陪審員2号(相島一之)は精密機械を作っている工場の従業員、
陪審員3号(上田耕一)は喫茶店のマスター、
陪審員4号(二瓶鮫一)は元々信用金庫に勤めていましたが、現在は仕事を退いています。
陪審員5号(中村まり子)は商社に勤めている独身の女性で、
陪審員6号(大河内浩)は医薬品メーカーで営業の仕事をしています。
陪審員7号(梶原善)は会社員ではなく職人として働いていて、
陪審員8号(山下容莉枝)は主婦で子供を育てています。
陪審員9号(村松克己)は歯医者を開業していて、
陪審員10号(林美智子)はクリーニング店を経営しています。
陪審員11号(豊川悦司)は年齢も職業も謎の男で、
陪審員12号(加藤善博)は大手スーパーで課長補佐のポジションについています。
暑い中、まずは陪審員3号の発案で各自飲み物を注文しました。
次は座り順を決めようということになり、黒板をスタートとして時計回りに番号順に順番に席についていきます。
しかし陪審員11号が周りに気を配らず喫煙をはじめ、たばこの煙が苦手な人間が離れられるように席順を若干移動したりと、短い時間で個性や人となりが少しずつ分かってきます。
今回集められた12人の陪審員が裁くのは夫を殺害した罪に問われている21歳の母親です。
母親は5歳になる息子を連れて家出していて、働かずにヒモのようになっている夫に愛想を尽かしたのが原因でした。
しかし夫の方は妻との関係を修復したいと考えていて、夜に通りであった2人は口論の中で揉みあいになり、その拍子に夫は通りにはじき出され走ってきたトラックにはねられて死亡してしまいます。
妻は夫に対して殺意があったことを否定していて、自分は無罪だと主張しています。
しかしこの事件には目撃者の主婦がいて、その主婦は妻が夫に対して『死んじゃえー!!』と叫んでいたと証言していました。
さらに夫を轢いたトラック運転手はクラクションを鳴らしていたにも関わらず構わず妻が夫を通りに突き飛ばしたと証言しています。
ところが妻の方はクラクションは聞こえなかったし、夫を突き飛ばしてなんかいないと証言しています。
陪審員1号は場を仕切る役目のため陪審員のルールを説明しようとしますが、早く帰りたい一心の陪審員6号を筆頭に他の陪審員から説明を省くように責められます。
仕方なくすぐに有罪か無罪かの票を取ることにします。
結果は全員が無罪に票を入れ、無罪で全員一致であっけなく審議は終了します。
陪審員たちは帰ろうとしますが、ここで陪審員2号が口を開き『もっとちゃんと話し合うべきだ』と主張します。陪審員2号はもっとみんなで話し合う為に自分の意見を無罪から有罪に切り替えました。
陪審員2号は周囲から『じゃあなぜ最初に無罪を主張したのか』と責められてしまい、素直に謝罪します。
陪審員2号は他の陪審員に『なぜ無罪に票を入れたのか一人一人に理由を言ってもらいたい』と話しました。
順番に理由を述べることになりますが、特に明確な根拠など持っていなかった陪審員10号は困り果て、陪審員2号の問いかけに耐え切れず鼻血を出してしまいます。
陪審員3号と陪審員4号はパスと言ったりフィーリングだと意見を述べますが、陪審員2号が理由になっていないと詰問します。
しかし結局無罪にした理由は『そんなことをする人には見えなかった』というひどく曖昧な理由しか出ませんでした。
陪審員5号に至っては普段からメモを取ることが好きらしく、事件の模様を詳細に書いたメモを読み上げ、自分の意見はまったく言わないまま意見を述べたかのような顔で順番を終えました。
陪審員12号は被告人である妻の正当防衛を主張します。
初めて出る真っ当な意見でしたが、陪審員2号は目撃者の主婦の証言はどうなるのかと質問します。
陪審員12号は目撃者の主婦よりも被告人の主張を信じると陪審員2号に話します。
この意見に陪審員5号も乗っかり、被告人は嘘を言っていない、自分は嘘を見抜くことができると主張しました。
陪審員9号は、裁判で被告人の殺意が立証されていない以上、被告人は無罪だと判断するのが妥当だと意見を述べました。
陪審員7号はヒモとして生活していた被害者の男が許せない性分で、『有罪だとしても被告人は無罪だ』とわけのわからないことを言い出します。
陪審員6号は陪審員9号の殺意の立証ができていないという意見に乗っかり、陪審員8号は周りの意見をまとめた感じのことを言い、自分の意見は言わないままに自分の番を乗り切りました。
するとそれまで発言していなかった陪審員11号が口を開きます。今回の事件は有罪だとしてもどうせ執行猶予がつく。
どちらにしても刑務所には入らないのだから無罪でいいじゃないかと発言します。
この意見に周りの陪審員は同調します。しかし陪審員2号はこの意見に同調することなく話し合いを続行します。
しかし意見はまとまることはなく仕方なく無記名投票という形で決を取ることになります。
しかし陪審員2号は有罪の意見が増えていなければ無罪に考えを変えてもらうという条件を周囲から出されました。
条件を呑んだ陪審員2号は投票をする前に自分の考えを熱く語りますが、他の陪審員たちに響いている様子はありませんでした。
投票が終わり開票をしてみると、なんと有罪の票が2票になっています。しかし票の合計数が13票になっていて陪審員2号の不正が発覚します。
陪審員2号は呆れられ議論は終わろうとしますが、陪審員9号が突然考えを無罪から有罪に切り替えます。
ちなみに陪審員9号はただ単に議論が好きな性分でもっと議論を楽しみたいというある意味不埒な理由で意見を有罪に切り替えただけでした。
一旦休憩を設けることになり、みんなで相撲の話で盛り上がります。
貴花田と若花田のどちらが先に横綱になるかという話しで盛り上がりますが、陪審員2号は一人だけ若花田という意見で、相撲の話題でも孤立してしまうのでした。
議論が再開されます。陪審員9号が、被害者は飲酒をしていてさらに長い距離を走って被告人に追いついたことから、被告人に襲い掛かる力などなかったのではないか、そうなると正当防衛は考えにくいと意見を述べます。
この意見に水を得た魚のようになった陪審員2号は被告人がわざと被害者に追いつかれて計算して突き飛ばしたのではないかと持論を展開します。
この意見を聞いた陪審員5号が有罪に意見を切り替えます。
しかし陪審員5号が意見を変えた途端に陪審員9号は無罪に意見を変えてしまいました。
今度は陪審員4号が意見を述べます。被告人は子供のためにピザを注文していたのですが、子供のことをしっかり気にかけている被告人の性格のやさしさについて述べますが、これに対して陪審員9号が再び有罪に意見を変えます。
ピザを注文したという事は夕食までに帰れないと判断してのことで、そうなると計画的犯行だと考えざるを得ないと意見を述べます。この意見を聞いた陪審員12号は無罪から有罪に意見を切り替えました。
改めて票を取ってみると有罪と無罪の票は6対6のイーブンとなっていました。有罪派と無罪派の闘いとなり陪審員7号は無罪派のメンバーを鼓舞します。
しかし明らかに有罪派の方に論じられる人間が固まっていて、無罪派は苦境に追い込まれます。
追い詰められた無罪派の陪審員7号は『なんでこんなヒモ男が結婚出来て俺はいまだに独身なんだ!』と明らかに公私混同な意見を述べ出します。
陪審員3号は性格上この場にいるのが辛くなり帰ろうとしますが、他のメンバーが必死で止めます。
改めて再び票を取ります。すると結果は有罪7票、無罪5票という結果になりました。
陪審員1号はこれまで自分意見をまったく言わずに無罪を主張してきましたが、意見を述べろと責められます。
すると陪審員1号は過去に陪審員として参加して死刑囚にしたことがある過去を告白。
自分の一票が人の命を奪うのは悪い人間だとしても嫌なもので、もう二度とあんな思いはしたくないと意見を述べました。
今回の件も計画殺人ということにもしなれば死刑になる可能性はあるという話しを聞き、陪審員8号は慌てて意見を無罪に切り替えました。
しかし陪審員11号は傷害致死ということにすれば執行猶予が付くと言い、その形で有罪にすればいいとみんなに話します。
他の陪審員もこの意見に賛成します。しかし陪審員4号だけが意見を譲らず無罪を主張し続けています。
陪審員4号の態度に影響されて陪審員10号も無罪に意見を変えます。
陪審員9号は説得を試みますが2人の意見を変えることはできず、仕方なく評決不一致に持って行こうとしますが、ここで陪審員11号が無罪に切り替えます。
陪審員11号は実は弁護士でした。悩む2人にじっくり時間を与えるために無罪に意見を切り替えたのでした。
陪審員11号が動き出します。ピザを注文する提案し、ピザの大きさが子供だけで食べる量なのか母親と2人で食べる用の量なのかを立証しようという狙いでした。
陪審員11号は意見を述べ続け、さらに4号と10号の意見もしっかりと聞きました。すると証言などにほころびが出始めます。主婦の証言に疑問点が見えてきたのです。
さらに被告人が被害者に対して『死んじゃえ―!』と言っていた発言は、被害者のために買った『ジンジャーエール』を渡す時に『ジンジャーエール!!』と叫び、それが『死んじゃえ―!』に聞こえたのではないかという議論に発展します。
さらに陪審員11号はトラック運転手が居眠り運転をしていたのではないかと持論を展開します。
目撃者の主婦と当事者のトラック運転手の証言がみるみる崩れていきます。
しかし陪審員2号と陪審員9号は相変わらず有罪を主張し続けています。
陪審員11号に影響され他の陪審員も無罪の主張を自ら発言していきます。
みんな納得のいく意見を言い合い、意見を聞いていた陪審員9号は無罪へと意見を変えました。
陪審員2号だけは意見を変えず有罪を主張し続けていましたが、その理由は自分を捨てた妻と今回の被告人を重ねていたからでした。
そんな陪審員2号に対し陪審員11号は『裁かれているのはあなたの妻ではない』と言い、陪審員2号は意気消沈します。
評決は全員一致で…。
そして陪審員11号は陪審員4号に対し、あることを打ち明けます…。
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映画『12人の優しい日本人』感想・評価
映画『十二人の怒れる男』を観ているとより一層楽しめる事はもちろんなのですが、『12人の優しい日本人』だけを観てももちろん楽しめる内容となっています。
なかなか発言ができなかったり周りの意見に同調したり、平和主義で事なかれ主義な部分など、日本人の『らしさ』を見事に表現している映画だと思います。
こんな面白い脚本を書いてしまう三谷幸喜って、すごさは重々承知しているつもりでしたが、改めてすごいなと思ってしまいます。
そして出演者の方々が一癖も二癖もあるあってまた素晴らしいです。
今見返すと豊川悦司さんは何より「若っ!」という感想になってしまいますが、もちろんほかの皆さんも若くて、魅力的な演技で作り上げたキャラクターで魅力してくれます。
個人的には梶原善さんがやっぱり好きです(笑)
この人の「嫌そうな顔」って本当に天下一品だと思います(笑)
必ず楽しめる映画です。観たことない人には是非ご覧頂きたい映画です。
映画『12人の優しい日本人』
有罪?無罪?判決をめぐって12人の陪審員が繰り広げる激論コメディ
元になっている作品はこちら。
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