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俳優の泣く演技のコツを解説!泣きたい時に泣く方法とは?永野芽郁や永瀬正敏の話も紹介
今回は『俳優の泣く演技』について。
映画やドラマ、舞台やミュージカルで俳優が泣いているシーンをよく見かけると思いますが、多くの人が『俳優ってどうして自由自在に泣けるんだろう?』と疑問に思っているのではないでしょうか。
僕自身も役者業をスタートする前はなかなかに疑問でした。
ただ観ている分には「そんなに難しくなさそうだなぁ」なんてことも漠然と思っていまして。
そして役者を始めてからは『泣くシーン』に当然のように出くわし、撮影中に何度も泣いてきました。舞台でもありました。
では俳優がどのようにして『泣くシーン』に臨んでいるのか、自分なりの考察を書いていきたいと思います。
まず、この『泣く演技』というものに関しては、アプローチの仕方が俳優によって全然違います。
教科書があって『これで安心!このやり方をすれば必ず泣ける!』というものはもちろんありません。
だからこそちょっと難しい作業になってしまうのですが…。
間違いなく一番いいのは、役柄に入り込んで感情が自然と動いて勝手に泣いてしまったという形。
本来この形を目指すべきですが、これがなかなかに難しいのです。
撮影はカットで割ったり順番通り撮らないから泣きにくい
撮影ではカット割りなどもあって、その泣くシーンを通して撮るというわけではないんです。
さらに台本通りに撮影することも基本的にありません。
大げさに言うと、まだ出会いのシーンを撮影していないのに、いきなり別れのシーンの撮影で泣かなければならない、ということもありえるのです。
感情を持続できなかったり、盛り上がってきてそのまま撮りきってもらうというわけではないので、集中力も必要になりますし瞬発力も必要になります。
感情を解放させることができるかもかなり重要な要素になるのですが、ここでつまずく人がとっても多いです。
子役の子が泣く演技を容易に行ってしまうことが多いのは、感情の開放が大人よりも得意という事が大きいと思います。
普段の生活で『泣く』という行為は大人になればなるほど少なくなってきますし、また大人なのにすぐ泣くというのは良くないこととして世間でも思われています。
確かに仕事中に頻繁に泣いていたら仕事になりませんしね…。
そういったことから大人になると感情の解放をどんどんしなくなっているので、意識したり訓練したりしていないと演技の時も感情の開放が難しくなってしまうのです。
そういうこともあり演技のワークショップでは感情の解放の訓練を行うところが多いですし、わざと恥ずかしいことを大勢の前で行うという事もやったりします。恥を捨てされ!みたいな感じで。
『泣こう!』『泣かなきゃ!』と思うとまず泣けない
泣くシーンは、『泣こう!』とか『泣かなきゃ!』と思うとまず泣けません。
普段の生活で泣いてしまう前に『泣こう!』と思っている人ってたぶん滅多にいないと思うのですが、同じことです。
僕も役者時代に、泣こう泣こうと思って泣けたことは一度もありませんでした。
さらに『泣かなければいけない!』という妙な強迫観念に襲われてしまうと、演じている役柄の感情なんてもうどっかにいってしまっているわけですから泣けるはずがありません。
ただ人によっては役柄やストーリーなど一切を排除して、自分自身のプライベートなことを思い出したり想像したりして泣く人もいます。
自分の両親が亡くなってしまったことを想像したり、飼っていたペットが亡くなってしまった時のことを思い出したりなどするそうです。
ちなみに僕はこのやり方はチャレンジしたことはありましたが全然だめでした…。
涙を出すという行為だけなら、まばたきを我慢したりして涙を出すことは結構簡単にできます。
しかしこれははっきり言って見ていてわかってしまいます。一目瞭然です。
ドラマや映画を観ていても、この方法はすぐにわかってしまうので興ざめの原因に…。
山田洋次監督が永瀬正敏にかけた【泣く演技】の珠玉のアドバイス
永瀬正敏さんが巨匠・山田洋次監督の『息子』という映画に出演した際に、泣くシーンの前に山田監督からかけられた言葉を紹介します。
『涙を流そうとしないでいいですからね。心で泣いていれば観客には伝わります。女優さんでボロボロ涙を流す人がいたりするけど、あれは涙腺が緩いだけですから』
僕はこの話を知った時に『さすが山田洋次監督だなぁ』と感嘆してしまいました。
画的にはやはり涙を流している画が欲しいと思ってしまうのが普通だと思うのです。
わかりやすいですし。
でもそういうことではないという山田洋次監督の演出、本当にすごいなと。
そして永瀬正敏さんはこの映画で日本アカデミー賞を受賞しました。
【泣く演技】のコツを紹介
泣く演技のコツ、それはですね…
『集中力』と『いかにリラックスするか』です。
あくまで個人的な意見ですが、もうこれに尽きると思っています。
集中する対象はもちろん『泣く』という行為ではありません。
演じている今に集中するということ。
『泣こう!』とか『泣かなきゃ!』と思う隙間なんてないほどに集中する、これに尽きると思います。
そして集中力を発揮するためには、完全にリラックスすることが必要。
『あ~次は泣かなきゃいけないシーンだ~』なんて考えていたら、リラックスも集中のどちらもきっとできないでしょう。
僕は舞台の出演中に、むしろ泣いてはいけないシーンなのにどうしても泣いてしまうシーンがありました。
逆に演出家から『泣くな!』と怒られていたのですが、そういう形がベストなんじゃないかと思います。その時は役柄的にダメでしたが…。
皆さんもきっとドラマや映画を観ていて、俳優が泣くシーンがある時はいろんなことを感じていると思いますが、観ている人に伝わればどんな形でも成立していると僕は思っています。
涙を流すかどうかはあまり大した問題ではないんですよね。
実は芝居は無表情が最強という説もあるぐらいなので。(観ている人がそれぞれ自由に感情移入をしやすいため)
ちなみに日本人は怒る演技が苦手だと言われています。
怒る演技は難しい?コツや練習法は?日本人が怒る演技がヘタな理由
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永野芽郁の泣く演技のコツ
ちょうど最近、女優の永野芽郁さんが「泣くシーンで涙を流すコツ」について話しているのを見たので追記しておきます。
永野芽郁さんは涙を流すコツは「水分をたくさん摂ること」と話されていました。涙も水分なのでとのことで、なるほどと可愛いゆえに納得してしまいました。
さらに「深い呼吸をしていると涙が出やすい」的なことを仰っていて、これもなんとなくわかる気がしました。
ただ、日常の「泣く」とはちょっと違ってしまっているかなぁとは思いました。
この話を聞いて永野芽郁さんの泣いているシーンを思い出してみると、結構泣くシーンのパターンが似ているので、バリエーションに限界があるではないかなとも思いました。
とは言っても現在1番人気の女優さんと言っても過言ではない人気なので、そんなことは問題ではないのでしょう。
ちなみに僕も永野芽郁さんはすごく好きな女優さんです。綺麗だしキャラクターも良いですよね。
泣くシーンについて「水をたくさん飲む」と言ってしまう永野芽郁さんは本当に魅力的です。