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映画『ハードコア』作品情報
今回のおすすめは映画『ハード・コア』です。
原作は伝説のコミックと呼ばれている狩撫麻礼の『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』です。
予告編観て「おもしろそう!」と思っていたので映画館で観た映画です。
山下敦弘監督はいつも間違いなく面白いのですが、『ハードコア』も例外なく面白かったです。
それでは『ハードコア』の映画紹介です。
映画『ハードコア』は2018年に公開された日本映画です。
上映時間は124分です。
監督は山下敦弘監督。『苦役列車』『オーバーフェンス』『山田孝之のカンヌ映画祭』など。
キャストは
権藤右近…山田孝之
権藤左近…佐藤健
牛山…荒川良々
バーの女…松たか子
金城銀二郎…首くくり栲象
水沼…康すおん
他。
映画『ハードコア』ネタバレ・あらすじ
不器用な男権藤右近(山田孝之)は現代社会に馴染めずに活動家に拾ってもらったことをきっかけに、その結社の手伝いとして週一回群馬の山奥で埋蔵金発掘のために穴掘りをし、月給7万円を得てボロアパートで暮らしていました。
その穴掘りに一緒に参加していた牛山(荒川良々)は上手く喋ることが出来ない心の優しい男で、右近はこの牛山には心を開き、牛山の面倒も見ていました。
右近には商社に勤めるエリートサラリマンの弟・左近(佐藤健)がおり、左近は兄の生き方を否定はせずとももちろん良くは思っていませんでしたが、右近に面倒が起きれば左近がフォローしたりもしていました。
左近自身、サラリーマン生活の自分に辟易していて、社会に対して冷めた感情を持っている男でした。
牛山は廃墟となった工場で暮らしていました。右近もこの廃工場にはよく来ていて、牛山と共にビールを飲んだりカップラーメンを食べたりしていました。
ある夜、右近のボロアパートに泣きながら牛山が訪ねてきます。
右近が要領を得ないまま廃工場に行くと、そこには一体のロボットが横たわっていました。恐る恐る右近がロボットに触ると、ロボットは立ち上がり動き出しました。
右近はこのロボットをこんな腐った社会に出してはいけないと守ることに決めます。それから牛山とロボットと三人で行動を共にするようになります。
ロボットを「ロボオ」と名付け、穴掘りにも一緒に連れて行きました。ロボオはかなりの高性能でものすごい勢いで穴を掘っていきます。
ある日右近が牛山とロボオを連れて自分のアパートに戻ると、弟の左近がやってきていました。左近は親に兄の様子を見てくるように頼まれ来ていたのですが、ロボオに興味を抱きます。
左近がロボオを自分のパソコンに繋いでロボオを調べると、ロボオが恐ろしく高性能なロボットであることがわかります。
左近が言うにはNASAやGoogleが何百億かけて開発しようとしているロボットがここにいると右近に話します。
大金が手に入ると目論む左近でしたが、右近はロボオを金儲けの道具にすることを許さず、誰にも言うなと左近に凄みます。
指示されたとおりに埋蔵金堀を進めている三人でしたが、一向に埋蔵金は見つかりません。右近はもともと半信半疑で掘っていたので埋蔵金が出てこないことに特になんの感情もありませんでした。
ある日左近がやってきて、AIについての知識を右近に話します。左近は仕事柄AIに対する知識を持っていたのです。
左近は兄が埋蔵金探しをしていたのを知っていて、このロボットの性能だったら、埋蔵金の場所なんて簡単に探知できるはずだと言って、金の延べ棒の小さいものを右近に渡します。
ロボオに金(きん)を認識させて、埋蔵金の場所を探し当てさせるという作戦でした。
左近の予感は当たり、ロボオはいとも簡単に埋蔵金の場所を探し当ててしまいます。本当に出てきた埋蔵金を前に驚愕する右近・左近と牛山。結社の上の人間にはもちろん内緒です。
しかしこの埋蔵金をどうすればいいのかが右近にはわかりません。
左近は自分に考えがあると言い、兄貴たちはこのまま誰にも言わずに今までの生活を続けてくれと話します。
左近は海外のマフィアと取引をしてこの金塊を売りさばこうと考えていました。
結社の上司である水沼(康すおん)の家で飲んでいた右近は水沼の娘の多恵子(石橋けい)に惚れ込んでしまい、その事を弟の左近に相談します。
水沼の家の近くに行くと多恵子が窓から顔を出します。多恵子を見た左近は兄貴の手に負える女じゃないからやめておけとアドバイスしました。
左近は女性経験も豊富で多恵子は男を狂わせるタイプ、自分がもっとまともな女を紹介すると右近に言いました。
しかし右近は左近の忠告を聞かずに多恵子にのめり込んでいき情事を重ねます。右近と左近はこの件で喧嘩をしてしまいました。
左近は海外マフィアとの取引に動いていましたが、連絡が取れない期間が続き、また左近が関連しているのではないかと思われる物騒なニュースも右近の目に飛び込んできて、右近は左近の身を案じます。
多恵子との関係が続いていたある日、右近のアパートに突然水沼が訪ねてきました。水沼は結社のボスである金城銀二郎(首くくり栲象)が人を殺してしまったと話しました。
死体をスーツケースに入れて運んでいて、そのスーツケースを牛山が住んでいる廃屋に隠しておくようにと指示しました。
水沼はスーツケースの中身は絶対に見るなと付け加えました。しかしスーツーケースを開けてみると中身は金城でした。金城自身が殺されていたのでした。
水沼は金城を殺害してその罪を右近と牛山に擦り付けようと画策していたのでした。
気がついた時には右近と牛山のいる廃屋は警察に包囲されていました。
どうしていいかわからくなった右近たちでしたが、ロボオが突然二人を抱きかかえて上空へと飛び上がりました。
そのまま上空を飛んでいたロボオは右近と牛山を抱きかかえたまま夜空で大爆発を起こしました。
左近は海外マフィアとの取引を終えて大金を持って右近と牛山のいる廃屋へとやってきました。
しかし右近も牛山もそこにはいませんでした。
右近と牛山の運命は…?
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映画『ハードコア』感想・評価
全然混まない映画館に行って観てきたのですが、そこの映画館にしてはなかなか混んでいて、こういう映画にお客様が結構入っているの見るとなんだか嬉しくなっちゃいます。
いわゆる大衆向け映画ではないと思うので。
映画の感想をまず率直に言わせて頂きますと、面白かったです!!
重厚な空気感の中に思わず笑ってしまうところも織り混ぜられつつ、でも切ない気持ちにもなるし、ロボオが「この2人にはもう守ってくれる人がいない」と言ったシーンは目頭が熱くなりました。
観て頂いたらわかるかと思います。
山下監督の作品はやはりハズレがない。個人的な山下監督映画=面白いの定説は今回も崩れずでした。というかかなり上位に食い込んできそうです、僕の山下監督映画ランキングの中で。
観終った後にグッズコーナーもプラプラしていたのですが、クリアファイル買おうかなって思っちゃったほどです(笑)買わなかったですけど。
でもクリアファイルの登場人物たちとロボオが並んでいる写真見てたら結構切ない気持ちになったんですよね。しっかり後遺症を残してくれた映画です。
埋蔵金の穴掘りのカットは蟻のガラスケースの観察みたいで、ひとりで笑ってしまいました。センス良いなぁ~ってしみじみ思ってしまいました。
今作でプロデューサーも務める山田孝之さんですが、もう毎回ですがこの人の演技には文句のつけようがありません。
眼力も相変わらずすごいし、アドリブなのかセリフなのかわからないセリフ回しは本当にすごいの一言で、名優の仲間入りはすでに果たしている人だと思いますが、もはや名人の域だと思います。
山田さんの芝居にはエゴがまったくないんですよね。ただ右近が生きているのを観ている感覚でした。
山田孝之さんがロボオに初めて触れた時に、胸の湯気の出ている部分を触るのですが、「熱っ!いやっ冷たっ!」って言ったシーンはめちゃくちゃ笑ってしまいました(笑)
人間そういう時あるよなぁってところ突いてくる俳優は本当に上手いと思います。余談ですが中井貴一さんとかもこういう芝居超上手いです。色んな表情も見せてくれて大満足のお芝居でした。
荒川良々さんも持ち味をいかんなく発揮していてかなり良かったです。ただ今作では笑いを取るシーンもなく、どちらかというと観ていて切なくなるキャラクターです。
山田孝之さん演じる右近が唯一心を開き守ろうとするキャラクターでなくてはならない牛山を見事に体現されています。個人的にはこういう荒川良々さんの方が好きです。すごく良かったです。
牛山が全然できない俳優だったらかなりバランスやばくなっていたと思います。なので荒川良々さんの功績はとっても大きいと思います。
そして『億男』と連続で観ている佐藤健さんですが、この人こんなにいい俳優さんだったんですね。
すごく動けてアクション出来る俳優っていうイメージがどうしてもあってなかなか演技に注目したことなかったんですが、正直すごく良くてびっくりすると同時に僕は反省しております。
エリートでありながら世間を諦め冷めている部分を持ちながらも心にやりきれない思いは持っていて、そしてなんだかんだ兄想いの部分、様々な感情を持ちながらの演技素晴らしかったです。
個人的には牛山の事をちゃんと牛山さんと呼んでいるところが特に好きでした。
人間って結構何かしら心に苛立ちを持っていたりするものだと思うのです。
内容や事情は人それぞれで。そしてその苛立ちに折り合いをつける術を身につけて生きているところってあるんじゃないかと僕は思うのですが、その苛立ちに折り合いをつけられない人って、魅力的だったりするんですよね。全員じゃないけど。
この映画観て、信念とか大切にするものとか、そんなことも思いまして。要するに、観て良かったなぁと思える映画だったんです。
規模的にどこの映画館でもやっている映画ではなさそうですが、いつもより少し足を延ばしてでも是非観て頂きたい映画です。
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