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怒る演技は難しい?コツや練習法は?日本人が怒る演技がヘタな理由
今回は『怒る演技』について解説していきます。
『怒る演技』と言ってもいくつかの種類があります。
無言だけど怒っているという場合もあれば、大きな声で怒鳴るケースもあり、また瞬間的にキレるような突発的に怒るような場合もあります。
皆さんが日常で怒っている時を思い返してみてもらうとわかるように、他にも怒り方にはたくさんの種類があります。
そしてさらに、怒る度合い、パーセンテージのようなものもその時々によって微妙に変わってくるわけで、演技をする際にはそのシーンに1番ふさわしいであろう怒り方や怒る度合いをチョイスする必要があります。
チョイスすると書きましたが、理想の形は相手役のセリフや演じている役柄に起きている出来事に反応して自然に怒りの感情が湧いてくるのが1番でしょう。
演技は反応することがすべてですので。
しかし多くの場合、日常で怒っているよりも大きな怒りの表現を求められます。
自分の身近な人間が傷つけられたとか、もちろん自分が理不尽に傷つけられたといったシーンがあった時に、作品として激しい怒りをそのキャラクターに感じてほしいなら、激しい怒りを表現しなくてはいけません。
日常のリアルさを追求した場合は叫んだり大きな声を出したりしないとしても、演技でしっかり怒っていることを表現する必要があります。
そして怒る演技の表現方法は舞台と映像でも大きく変わってきます。
怒る演技は舞台と映像で表現の仕方が特に大きく異なる
すべての演技で『反応する』という根底にあるものは舞台であろうと映像であろうと変わらないのですが、表現方法はジャンルによって変わってきます。
映像でカメラが自分の顔をアップにしてくれているならば、激しい怒りに駆られるシーンで無言で涙ぐんで目が血走るような演技をしていても、そのキャラクターの怒りは十分表現できます。
しかし舞台でただ一点を見つめて目を血走らせたところで、それなりに大きな劇場であればその表現が見えているのは最前列のお客さんぐらい…。
キャパの大きい舞台では、声や体を使って大きく表現することを求められることがどうしても多くなります。
ただ内面にある怒りのエネルギーの量はどちらも同じでなければいけません。
たいして怒りの感情が生まれてないのに派手に怒っている表現だけをすると、かなり滑稽なことになるので注意が必要。
映画やドラマ、舞台を観ていて違和感を感じる要因の1つで、観ている方が恥ずかしくなったりします。
内面の怒りのエネルギーの量がとっても重要。
放出する表現か、自分の中でふつふつと煮えたぎらせる表現、他にもたくさんありますが、怒りの感情をしっかり持っていないと、とても薄いものになってしまいます。
挙げているのは例えなので、映像でも怒りに任せて暴れまわるということもありますし、舞台上でもじっとしながら怒りを表現することもあります。
舞台で動かずに怒りのエネルギーを観客にしっかり伝えられる俳優というのももちろん存在していて、その空間の空気をガラッと変えられるような俳優はそういった表現も可能ですし、観ていて鳥肌が立ちます。
一流と言われている俳優はできてしまうんですよね。
また、怒る演技と言ってもいろんなパターンが本当にたくさんあって、個人的には怒りすぎて笑いながら怒っている感じの表現が逆にとても怖く感じたりします。
もう狂うぐらいまで怒っている感じというか…。
怒る演技のコツと練習法
『演技を始めたばかりで怒る演技をどんな風にやったらいいかわからない』という場合にぜひ試してみて欲しいのが、とにかく大声を出してみることです。
沈黙の怒りの表現や静かに語りかけるような怒りの演技などは、後からでいいです。かなりのスキルが必要になるので。
突発的に怒りを作る練習をまずはしてみてください。
そのためには『いきなり大声を出してみる』ことが結構ヒントになるんです。
コツとしては『段々声を大きくする』のではなく、『最初から大きい声を出す』ことです。
頭から大きい声を出すのです。『ふざけるな』というセリフだったら、意識としては頭に!マークがついているぐらいのイメージで『!ふざけるな!』といった感じ。
『あー!!』とかでも何でもいいです。いきなり破裂させるイメージです。
腹の立つことを何でもいいので想像したり思い出したりして、とにかく大声を出してみましょう。
これを続けていくとなんとなく『怒りの感情のスイッチ』のようなものがわかってくるはずです。
日本人は怒る演技が苦手?ヘタな理由は?
日本人は怒る演技がヘタという話を昔よく耳にしました。
理由は単純で、日本人は国民性なのか日常生活で怒ることをあんまりしないから。
確かに日本人って怒りの感情がわいてきても、押し殺して我慢するケースが多いですよね。
すべての他の国と比べてと言うわけではありませんが、短気な国民では決してないでしょう。
空気を読んだり空気を壊すことを恐れるということも多いので、『ここでキレたら空気を壊しちゃうな』という考えが浮かんだり、その後のことまで考える冷静さを心のどこかに残している印象。
もちろん悪いことではないし、トラブルも減って平和でいいと思います。
ただ演技する時に「いや~そこまで怒ったことないんだよな」ということが起こってしまいます。
これは体験も踏まえてですが、過去に受けたアドバイスで『日常から怒る癖をつける』というのがあります。
例え周囲から変な奴、迷惑な奴と思われようと演技のためにそれぐらいのことをしろという話もありました。
ずっと長い間それを続ける必要はないですが、コツというか感触をつかむまではありだと思います。
誰かを傷つけたりはダメですよ。
例えばすごく腹立たしいことがあったら、その感情のまま人のいないところに行って『あー!!』とか叫んでみるとかいいんじゃないでしょうか。
大きく表現ができるようになれば、それだけのエネルギーがあるということなので、その表現を静の表現にすることは容易にできるはずです。
まずは大きく表現することが大切。
余談ですが、めちゃくちゃキレている人を見ると笑いそうになることがあるのですが、怒るってある意味で喜劇なんだなぁと感じます。
怒るきっかけを台本から読み解く力も必要
実際に役柄を演じている時は、台本上のセリフで相手のセリフのどこのポイントが自分の怒りの琴線に触れるのかなどを考える必要が出てきます。
相手の言い方によって怒りの度合いも変わるわけで、いろいろな表現を柔軟にできるようにするために怒りの訓練はある程度必要なのです。
泣く演技についてはこちらで解説しているので参考にしてください。