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映画『散歩する侵略者』作品情報
今回の絶対おすすめ映画は『散歩する侵略者』です。
映画『散歩する侵略者』は前川知大主宰の劇団イキウメの2005年初演作品であり、2007年に出版された小説を映画化したものです。
長澤まさみ、、松田龍平、長谷川博己らをはじめ豪華キャストが出演していて大変見応えのある映画になっています。
それでは『散歩する侵略者』の映画紹介です。
映画『散歩する侵略者』は2017年に公開された日本映画。
上映時間は129分。
原作は前川知大による戯曲を原作とした小説『散歩する侵略者』。
監督は黒沢清監督。
『ニンゲン合格』『ドッペルゲンガー』『トウキョウソナタ』『クリーピー偽りの隣人』などを監督しています。
キャストは
加瀬鳴海…長澤まさみ
加瀬真治…松田龍平
天野…高杉真宙
立花あきら…垣松祐里
明日美…前田敦子
丸尾…満島真之介
車田…児島一哉(アンジャッシュ)
鈴木…光石研
牧師…東出昌大
医者…小泉今日子
品川…笹野高史
桜井…長谷川博己
ほか。
映画『散歩する侵略者』ネタバレ・あらすじ
ある一般家庭で一家惨殺事件が起こります。
その中で生き残った学校の制服姿の立花あきら(垣松祐里)は、血まみれのまま通りに出てテクテクと歩き出します。
車を避けることもなく仕方なく車があきらを避けて通り過ぎますが、一台のトラックが避けきれず横転し、他の車も巻き込み大事故に発展しますがあきらは何も気にすることなくそのまま歩き続けていました。
その頃、ある病院ではイラストレーターの加瀬鳴海(長澤まさみ)が事故に遭った夫の加瀬真治(松田龍平)を引き取りに来ていました。
真治は別人のような性格になってしまっていて、終始穏やかに話し、鳴海との会話も噛み合わない感じになっていました。
鳴海は医者に夫が別人のようだと相談しますが、医師は事故によるショックの一時的なものか、あるいは若年性アルツハイマーかもしれないと話します。
鳴海は合点がいきませんでしたが、とりあえず自宅療養ということで、病院を出て自宅へ連れて帰ることにします。
真治は事故に遭う前に浮気をしていて鳴海にバレていたようで、鳴海は真治にまずそのことを怒りました。しかしやはり真治と会話が噛み合いません。
鳴海が注意するまで真治はずっと妻の鳴海に敬語を使っていました。
助手席に座りシートベルトを鳴海につけてもらった真治は鳴海に「僕のガイドになってよ」と頼みました。
雑誌のライターでありジャーナリストの桜井(長谷川博己)は米軍と自衛隊の動きの変化に気が付き、何かあるに違いないと取材に燃えていました。
しかし一家惨殺事件が起こったことで、そっちの取材をするように指示されます。
桜井は他の者にやらせればいいだろうと頼みますが、断り切れず乗り気じゃないまま一家惨殺事件の取材に向かいました。
現場に行った彼は警備をしている警官に事件のことを聞こうとして、1人の生存者のことなどを質問しますが、相手にしてもらえません。仕方なく遠巻きに事件の起こった家を見ていると1人の少年が話しかけてきました。
天野(高杉真宙)と名乗るその少年は、桜井にこの事件の生存者である立花あきらに会うにはどうしたらいいかと質問します。
桜井は「それは俺にはわからないな」と答えますが、桜井が車に戻ると天野がいて、話をした2人は目的が一致していることから、一緒に立花あきらを探すことにします。
天野は桜井に、自分が宇宙から来たことを話し、「ガイドになってほしい」と頼んで桜井の車に乗り込みました。桜井は冗談だと思い聞き流していました。
鳴海は相変わらず会話が噛み合わない真治と暮らしていました。そこへ鳴海の妹の明日美(前田敦子)が泊まりにやってきました。
明日美はこれまでと違う真治に興味を示し会話をしますが、真治は言葉の意味が分かっていない様子でした。
明日美は自分は鳴海の妹であり、真治の妹でもあると話し、つまり「家族」なのだと説明しました。真治は「家族」の意味を知りたがり明日美に説明を求めます。
明日美が家族とは何かを説明すると、真治はそのまま明日美から家族の概念を奪ってしまいました。
概念を奪われた明日美は放心状態で泣き出した後に、心配して声をかけてきた鳴海に向かって「触らないで汚らわしい」と言って、泊まらずに早々と帰ってしまいました。
鳴海は何が起きたのかわからず困惑します。
真治は退院してからやたらと散歩に出たがりました。
たくさんの人と話したいと言いこの日も散歩に出かけ、一軒家からちょうど出てきた丸尾(満島真之介)と会話します。この家が誰のものであるかの話をして、真治は『所有物の「の」』について丸尾に質問し、意味を聞いてその意味を丸尾にイメージさせました。
そして『所有物の「の」』の概念を丸尾から奪ってしまいました。丸尾は明日美と同じように放心状態で座り込みました。その後の丸尾の様子は明らかにおかしくなっていました。
真治は野良犬にも話しかけたりして鳴海の手を焼かせますが、鳴海は真治の発する嘘のない言葉になんとなく昔を思い出していました。
桜井と天野は立花あきらを探していました。天野は桜井にいろんなことを話していました。立花あきらが極秘に収容されている病院にやってきた2人。
立花あきらには警護がついていて、警護にあたっていたのは刑事の車田(児島一哉)でした。あきらは車田に話しかけていましたが、車田は規則で会話を禁じられているのか相手にしていませんでした。
あきらは車田の発した「自分」と「他人」という言葉について質問していました。
そこへ桜井と天野がやってきます天野はあきらは対面するとお互いに再会を喜んでいました。
車田がすぐに止めに入りますが、あきらは信じられない強さで車田をボコボコにして、「他人」と「自分」の言葉の意味を聞き、車田は「他人と自分」の概念を奪われてしまいました。
車田はやはり人が変わったようになり、天野と桜井があきらを連れ去るのを止めようとはしませんでした。
宇宙からやってきたという真治、天野、あきらは言葉を学習するのに人間の概念を奪っていました。
概念を奪われた人間は完全にその概念を失い、概念をなくしているのでそのことについてまったく考えられなくなってしまうのでした。
天野とあきらはガイドを務めている桜井に「もう1人仲間がいるはずでどこいいるか探しているから協力してほしい」と頼みます。
車田の一件を目の当たりにした桜井は探すことに協力することにし、同時に密着取材をさせてくれと頼みました。
天野はサンプルとしてたぶん何人かは人間を生存させる話をして、サンプルになることを勧めますが、桜井はこの時はあまり魅力を感じていませんでした。
鳴海はある会社からイラストの仕事をもらっていました。以前大きな仕事を振ってもらえたので、その仕事のイラストを会社に持っていきます。
このイラスト会社の社員で鳴海に仕事を振ってくれた鈴木(光石研)は以前鳴海にセクハラまがいのことをして鳴海に拒絶されていました。
鈴木に鳴海が書いてきたイラストを見せると、鈴木は酷評してやり直しを命じます。さらに鈴木は鳴海に対して「仕事とはなんだかわかっているのか」と怒ります。
そこへ突然真治がやってきてしまいます。真治は鳴海の制止を振り切って鈴木に「仕事」の意味を聞きます。
鈴木は仕事について説明し真治にイメージするように言われ言われた通りにしてしまい、真治に「仕事」の概念を奪われてしまいました。
「仕事」の概念を奪われた鈴木は子供のようになってしまい、デザイン会社で子供のように遊びまわります。
状況がわからない鳴海でしたが、真治に怒ったまま真治とデザイン会社を後にしました。
真治は鳴海に自分が宇宙人であることを話しました。概念を奪って学習していることも話します。
明日美からも「家族」の概念を奪ったことも告白しました。そして本当の真治には今眠ってもらっていることも話し、鳴海は大切なガイドだから概念を奪ったりはしないと告げました。
天野とあきらは通信機の制作をしようとしていました。桜井は必要なものを買ってくるよに頼まれます。渋々桜井は買い物に出かけます。
買い物の際中に桜井は厚生労働省の品川(笹野高史)に声を掛けられ、喫茶店で話をします。
品川は新種のウイルスが発生している可能性があることを話し、意識障害の人間が続出していることを話しました。立花あきらもその疑いを持たれていました。
桜井はあきらと共にいることを品川に隠しました。品川の部下らしき者たちがやってきます。仰々しい感じがただ事ではないことを物語っています。
品川は桜井にGPSを渡し、今は電源を切ってあるが何かあったら駆け付けるから電源を入れるようにと言って去っていきました。
桜井と天野とあきらは人気のない倉庫に身を隠して通信機を作成していました。外に使える部品があるかもとあきらが外に出ると、ちょうどパトロールしていた警官に見つかります。
行不明の立花あきらであることに警官が気が付きますが、あきらは警官の拳銃を奪って簡単に射殺し、さらにパトカーに乗っていたもう1人の警官も撃ってしまいました。
桜井が駆け付け「許されることじゃないぞ!」と激怒します。しかしあきらに反省の色はまったくありません。天野が冷静に「応援が来る前に場所を変えよう」と言って移動します。
しかし桜井が持たされたGPSは電源に関係なく居場所を伝えていて、武装した人間たちがやってきますが、マシンガンを持った者たちもあきらは撃退してしまいました。
真治と鳴海が歩いていると鳴海が誰かに尾行されていることに気が付きます。鳴海は真治を連れて走って逃げますが、大勢の追手があとを追いかけてきます。
鳴海は真治とはぐれてしまい必死で真治を探します。真治は追ってきた人間たちから概念を奪います。
鳴海が真治を見つけた時にはもう追ってきた人間たちはいませんでした。鳴海は一人にしないでと真治に怒ります。真治は「そうか、夫婦だもんね」と答えました。
真治は教会に行った時に牧師(東出昌大)に「愛」という言葉について質問します。
説明を受けてもわからずさらに突っ込む真治でしたが、牧師は「愛とは自分の中にあるのです」と言い、困惑した真治は初めて概念を奪えない経験をしたのでした。
鳴海の元に病院から電話がかかってきます。
真治が新種のウイルスにかかっている可能性があるとのことで、鳴海は真治を連れて病院に行きますが、病院には明らかにおかしな様子の患者がたくさんいて、さらに医者の切羽詰まった様子や物々しい自衛隊の様子を見て、鳴海は真治を連れて病院を後にしました。
自宅に戻ると桜井が鳴海に話しかけてきました。雑誌のライターである自己紹介した桜井に鳴海は警戒心を強めます。桜井は鳴海に、宇宙人たちを出会わせてはいけないと話しました。
桜井は天野とあきらに黙って鳴海の元へ来ていましたが、尾行されていて真治の居場所を知られてしまいます。抜け駆けしたことを天野に窘められます。鳴海は真治を連れて車で走りだします。
真治は段々と鳴海に対して特別な感情を持ち始めていて、真治が自分の一部になったのか、自分が真治の一部になったのかわからなくなってきたと鳴海に話し、鳴海に「まだやり直せる」と告げました。
モールのような場所まで鳴海と真治を天野とあきらが追いかけてきていました。
鳴海は真治を乗せて車で逃げようと発信させますが、あきらが突然行く手を阻むために飛び出してきて、鳴海はあきらを思いっきり轢いてしまいます。
動揺し落胆する鳴海に、真治は「大丈夫、元々死んでるようなもの」と言い、鳴海と逃げることを決めた真治は鳴海と運転を替わり、2人はその場から逃げました。
天野は轢かれたあきらのところに行き、いきなり飛び出ちゃだめだろうと言い、他の人間の身体に移るように言いますが、あきらはもういいやといった感じで、通信機をポケットから出して天野に渡しました。
あきら(中の宇宙人)はそのまま死んでしまいました。
寂れた工場で天野と桜井は通信機の取り付けを行い準備をしていました。桜井はこの前に人類のサンプルとして生き残れるように天野に頼んでいました。
そこへ品川がマシンガンを持った護衛達とともにやってきます。
品川は桜井に「あなたたは関係ないでしょう。むしろそちら側につかれると邪魔なんですよ」と説得します。そこへ姿を現した天野が品川から「邪魔」という概念を奪ってしまいます。
護衛達がマシンガンを乱射して天野は撃たれますが、傷ついた様子もなく護衛達を返り討ちにしてしまいます。品川は邪魔という概念を奪われて「みんな友達」という言葉を発していて、これに桜井は「もちろん」と答えました。
天野は直後に撃たれたダメージで身体が動かなくなります。
桜井は他の人間に乗り移ることを提案し「俺に乗り移るか?」と訊きますが、天野は「冗談でしょ」と言ってそのまま死んでいきました。
1人残った桜井は通信機を使って宇宙人と交信します。そこへ爆撃機が現れ桜井に向けて射撃が始まり、桜井は爆撃により粉々になりました。
逃げていた鳴海と真治はホテルへと入りました。鳴海はそこで真治に「自分の愛の概念を奪ってほしい」と言います。
拒んでいた真治でしたが鳴海に説得され、鳴海から愛の概念を受け取りました。真治は立っていられなくなり倒れ、起き上がりながら「なんだこれ?」と驚いていました。
鳴海と真治は海の見える丘へと行きました。真治はこれまでと見える景色が全然違うと感動していました。
そこへ宇宙人の侵略による攻撃が始まり空の色も変わっていきました。
桜井が通信したことにより、宇宙人による侵略が開始されていましたが、宇宙人は途中で侵略を取りやめました。
時が経過し、真治は病院に来ています。病院には宇宙人によって概念を奪われた人たちがたくさんいました。
病室の一番奥のベッドに鳴海が静かに座っています。
真治は鳴海のそばに行き…。
結末は本編をご覧ください。
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映画『散歩する侵略者』感想・評価
『散歩する侵略者』ですが、原作の小説を知人から借りて読んだ覚えがあるのですが、映画を観る頃にまるで概念を奪われたのかのごとくすっかり忘れていて、おかげで映画をただただ楽しむことが出来ました。
概念を奪うという発想がもうすごいですよね。概念がなくなったことを表現するのは非常に難しいと思うのですが、特に矛盾を感じることなく表現されていて、クスっとしてしまうシーンもあるほどです。
愛はやはり偉大なのだなぁと思わせてくれる映画で、感動も与えてくれます。愛について話す牧師役が東出昌大さんなのが、ちょっと余計なことを考えることになってしまいましたが(笑)
高杉真宙さんって売れてるのもわかるとこの『散歩する侵略者』を観ていて強く思いました。
文句なく上手いと思いますし、すごく稀有な目を持っている俳優さんだなと思います。宇宙人役を違和感なく演じられていて素直にすごいと思いました。
年齢を考えると本当にすごいとさらに思います。
長澤まさみさんももちろん良くて、この人のすごいところはキラキラした感じを作品によって自由自在に出したり封印したりできることだと思います。
綺麗なのはいうまでもないことですが、あまりに綺麗なので役によってはその綺麗さが邪魔になってしまうこともありそうなのに、見事にキラキラした感じを消すこともできるんですよね。
まさに役を生きているのだと思います。
松田龍平さんは好きな俳優さんということもあり、この『散歩する侵略者』でもやはりとっても魅力的でした。
宇宙人に乗っ取られた役が凄く似合っていて、この役は日本でもトップレベルに似合うのではないでしょうか。
長谷川博己さんは、もう上手すぎて安心感しかないというか。感情の振れ幅と少しいやらしさを出す演技とか絶妙過ぎていい意味でため息が出てしまいました。最後に吹っ飛ぶシーンとっても好きです。
光石研さんをはじめ他のキャストの方々もとても魅力的です。
文字だけであらすじを見るとちょっと複雑な話に感じるかもしれませんが、映画を観るととてもわかりやすい作りになっているので、ご安心して頂ければと。
舞台を観ている人、原作を読んでいる人からは映画『散歩する侵略者』は賛否両論のようですが、個人的には面白いと思いましたし楽しませて頂きました。
おすすめ映画です。ぜひ。
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