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映画『運び屋』作品情報
今回のおすすめ映画は『運び屋』です。
クリントイーストウッドが主演・監督を務めた映画『運び屋』は、80歳代でシナロアカルテルの麻薬の運び屋となった第二次世界大戦の退役軍人であるレオシャープの実話が基になっています。
ブラッドリークーパー、アンディガルシア、そしてクリントイーストウッドの娘のアリソンイーストウッドを始めとした豪華キャストが出演しています。
哀しく切ない実話となっています。
それでは『運び屋』の映画紹介です。
映画『運び屋』は2019年に日本公開されたアメリカ映画です。
上映時間は116分。
監督はクリントイーストウッド監督。
『ハドソン川の奇跡』『グラントリノ』『Jエドガー』『ジャージーボーイズ』など監督した名作は多数の名監督です。
キャストは
アール・ストーン…クリント・イーストウッド
コリンベイツ捜査官…ブラッドリー・クーパー
主任特別捜査官…ローレンス・フィッシュバーン
トレビノ捜査官…マイケル・ペーニャ
メアリー…ダイアン・ウィースト
ラトン…アンディ・ガルシア
フリオ…イグナシオ・セリッチオ
ジニー…タイッサ・ファーミガ
アイリス…アリソン・イーストウッド
ほか。
映画『運び屋』ネタバレ・あらすじ
園芸家として活躍してきたアールストーン(クリントイーストウッド)は、家族を省みずに自分の生活を優先させて生きてきました。
家族と過ごす時間よりも外で自分が喝采を浴びることを優先させてきました。
当然家族とは大きな溝ができていました。
娘のアイリス(アリソンイーストウッド)の結婚式にも仕事のために欠席し、孫娘のジニー(タイッサファーミガ)はアールが来てくれることを期待していました。
アイリスもアールが来ないことを知って激しく落胆していました。別れたアールの前妻のメアリー(ダイアンウィースト)はアールはそういう人間だとどこか諦めていました。
家族と離れて一人で暮らしていたアールでしたが、生活に困窮していました。
自宅を差し押さえられたアールはトラックに荷物を積んで別れた家族の元を訪ねました。訪れるとちょうど孫娘のジニーの誕生日のお祝いが催されていました。
アールが来てくれたと思ったジニーは喜びアールを歓迎しますが、そこへアイリスやメアリーが現れ、自分勝手なアールに嫌悪感を示します。
そしてアールのトラックに多くの荷物が積まれているのを見て、ジニーの誕生日だから来たのではなく単に行く場所がなくて来ただけということを見透かされさらに呆れられてしましました。
アールはその場に居続けることができなくなり、ジニーに別れを告げ停めてあるトラックへと一人向かいました。そんなアールに一人の男性が話しかけてきました。
男は誕生パーティーに参加していた若い男で、アールに対してもしお金に困っているならいい話があると仕事を紹介しました。
アールはこれまでに車の運転で違反切符を切られたことがなく、そんな安定した運転をしている男を探していると言われたアールはその仕事の連絡先をもらい電話をして、「車で指定の場所にものを運ぶだけ」の仕事を引き受けます。
アールが指定された場所に行くと見るからに悪そうで屈強な男たちが待ち構えていました。
アールは荷物は絶対に見ないようにと釘を刺され、トラックの積み荷に荷物を積まれ指定された場所に運ぶように指示をされます。鳴ったら必ず出ろという命令の元携帯電話も渡されました。
本当はメールで指示を出したかったようですがアールがメールのやり方をわからないため電話でのみの連絡となりました。
言われた場所に荷物を届けたアールは報酬として大金を手にします。一回だけと思っていた仕事でしたが、アールは雇い主に気に入られ仕事を続けることになります。
アールは手に入れた大金で差し押さえられていた自宅を取り戻し、さらにかなり古くなっていたトラックを黒いスタイリッシュなトラックに買い換えました。
一方その頃麻薬取締局では新たに捜査官が加わっていました。コリンベイツ捜査官(ブラッドリークーパー)をメンバーに加えて組織に逮捕を狙う取締局。大掛かりな捜査がスタートしていました。
アールは二回目の荷物の受け渡しも無事に成功し大金を得て、再び仕事をしようとします。
しかし積み込まれる荷物があまりに大きな荷物だったため気になり、運転の途中で約束を破りバッグの中身を見てしまいます。バッグの中身が麻薬だと知ったアールは激しく動揺します。
さらにそこに警察が警察犬を連れて現れました。アールは落ち着けと自分に言い聞かせ、機転を利かせ警察犬に自分の痛み止めクリームの匂いを嗅がせ、警察官に荷物を調べられることなく事なきを得ます。
アールが80歳を過ぎている老人なので、まさか麻薬の運び屋だと思われなかったことも大きな要因でした。
記録破りの重量の麻薬を運んだアールは麻薬組織のカルテルのボスであるラトン(アンディガルシア)に気に入られ、エルタタという名称を与えられて大豪邸にも招かれ歓迎されました。
大金を稼ぐようになっていたアールは、ジニーが学費の支払いに困っていて卒業が危ういと知るとその学費を負担しました。そして無事に卒業式を迎えたジニーの卒業式にも出席しました。
娘のアイリスはアールに対して壁を作り続けていたものの、元妻のメアリーは少しずつアールの行いに改心しようとしている思いを感じていました。
アールはエルタタとして麻薬取締局にも存在を知られるようになります。麻薬取締局は一人の売人を証人保護プログラムを餌に味方に引き入れていて、情報を入手していました。
しかし通常では考えられない量の麻薬を運ぶエルタタという男の手掛かりは『黒い車』ということだけでした。
アールがいつものように運び屋の仕事をしている最中にカフェに立ち寄って休憩していると偶然にもエルタタを追っているベイツ捜査官と会います。
2人はお互いの素性を知らないまま話し、ベイツ捜査官は自分が仕事が多忙なため妻との記念日をすっかり忘れてしまったという失敗談を話すと、アールは自分の人生を省みて、家族との時間をないがしろにしないようにアドバイスを送ったのでした。
アールは優秀な運び屋ではあったものの、指示通りに動かないことを問題視されていました。
勝手に休憩したりどっかに立ち寄ったりするので指示された時間に送れることもありました。しかしボスであるラトンは問題なく届けているからとアールの行いを不問にしていました。
しかし組織の中で反乱が起こり、ラトンは暗殺されてしまいます。
これによりアールを取り巻く環境も変わります。ラトンの庇護がなくなったアールは指示通りに動かなければ抹殺されると脅され、死体を見せられて脅されます。
アールはもう後戻りのできない状態になっていました。
緊張感を持って運び屋としての仕事を再開したアールでしたが、メアリーが倒れて病院に運ばれた知らせをジニーから受けます。
来てくれと頼むジニーに対してアールはどうしても今は行くことはできないと告げます。ジニーは家族が仲良くできるようにとアールと母親と祖母の間を取り持つことに尽力していましたが、このアールの返事に幻滅します。
メアリーはもう手の施しようがなく自宅へと戻り死を待つ状態になります。
そこへアールが現れます。アールは運び屋としての仕事を中断しメアリーの元へやってきたのでした。アールは失われた時間を取り戻すようにメアリーとの時間を看病をしながら過ごします。
アールの電話にはおびただしい回数の組織からの着信が入っていました。アールがその時運んでいた麻薬は1200万ドルの金額分だったため組織は姿を消したアールに激怒していました。
メアリーは亡くなり葬儀に出席したアールは運び屋の仕事に戻ります。そこで組織の人間に見つかり、宣言通りに殺されそうになります。
アールは命令に背いたことを認め殺されても恨まないと言い、妻が亡くなったために姿を消していたことを話しました。
これを聞いた組織の人間は新しいボスに連絡をして事情を話し、アールを今回は許してほしいと頼みます。
なんとかボスの許しが出てアールは荷物を運び届けるべく出発しました。
しかし麻薬取締局はもうそこまで迫っていました…。
果たしてアールの運命は…?
結末は本編をごらんください。
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映画『運び屋』感想・評価
切なく悲しい物語といった感想が率直な感想です。
これが実話なのかと思うとなおさら切なくなります。
クリントイーストウッドが演じたアールはもちろん馬鹿です。
法に背くことに手を染めたわけですから馬鹿なのは間違いないのですが、それでもなんだか切なく悲しいのです。仕方なくやったという部分もあったと思います。
最初は何を運んでいるかはわかっていなかったわけですし。
しかしいい大人が「何か」を車で運ぶだけで大金を受け取るという事はそれ相応のものだということはわかりそうなものです。
しかも雇い主は見るからに悪そうな人間たちですし。一回きりの仕事と思っていたものの結局二回目以降も運び屋として仕事をしてしまうわけですが、人間の弱さも表現している気がしてなりませんでした。
そしてその弱さは段々と抜け出せない道へと導いてしまうわけで、観ていて胸が締め付けられる思いでした。
そして印象的なセリフは裁判の後にアールが家族に言った「お金を手にしても時間だけは買えなかった」というセリフです。
現在をしっかりと何が大切かを感じながら生きろというメッセージが込められていました。
後で後悔しても一切取り返しがつかないことを教えてくれているような気がしました。
そして何気に感動したシーンが、アールを始末しようとする組織の人間がアールが姿を消していた事情を知って、ボスに「妻が死んだのだから仕方ない」と許してやってくれと頼むシーンでした。
結果的にアールは運び屋の仕事を再開したために逮捕されたわけで、責任はお前が取れと言われていたアールを庇った組織の人間はきっとまずいことになってしまったと思うのですが、まさかアールを庇う行動に出るとは思わなかったので予想外の出来事に感動してしまいました。
主人公をクリントイーストウッドが演じたこともこの作品が素晴らしい作品になった大きな要因だと思います。
調子に乗っている演技や困り果てた演技、そして自分を曲げられない頑固な様子を見せながらも憎めないキャラクターが非常に魅力的でした。
アールを観ていて愛することができるのはクリントイーストウッドが演じてくれたおかげだと思います。
そしてアンディガルシアのカッコよさにとっても痺れました。
悪い組織のボス役がめちゃくちゃ似合いますし、アンディガルシアが演じると下品じゃなくて上品な感じがするんですよね。
佇まいには本当に憧れてしまいます。
アールとベイツ捜査官の間に生まれている関係性もとても良いです。
おすすめ映画です。ぜひ。
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