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映画『ごっこ』作品情報
今回の絶対おすすめ映画は『ごっこ』です。
映画『ごっこ』は小路啓之の漫画を映画化した作品で、主演を千原兄弟の千原ジュニアが務めています。
ヒューマンドラマでありながら社会問題を切り抜いたリアルな物語になっています。
千原ジュニアが引きこもりでありながらも一人の少女を守る男性を好演しています。
それでは『ごっこ』の映画紹介です。
映画『ごっこ』は2018年に公開された日本映画です。
上映時間は114分。
監督は熊澤尚人監督。
『ニライカナイからの手紙』『親指さがし』『おと・な・り』などを監督しています。
原作は小路啓之の漫画『ごっこ』。映画の公開日は原作者の命日と同日だったとのことです。
キャストは
城宮…千原ジュニア
マチ…優香
ヨヨ子…平尾菜々花
ちすん
清水富美加
中野英雄
秋野太作
石橋蓮司
ほか。
映画『ごっこ』ネタバレ・あらすじ
2028年、坊主頭の城宮(千原ジュニア)は独房の中でただ黙っています。
看守が人を殺して13年間、今日もだんまりかと語り掛けますが、まったく反応しません。城宮はもう13年間黙秘を続けていたのでした。
2015年、大阪。
城宮は自宅に引きこもりひたすらフィギアを組み立てていました。会社を辞めてから城宮は5年間引きこもりになっていて、いわゆるオタクの趣味に没頭していました。
近所の小学生たちはそんな城宮を面白がり、引きこもりとからかいながらモデルガンを持って城宮の家にBB弾を撃ち込みます。城宮が窓を開けると小学生たちは慌てて逃げて行きました。
小学生たちを追い払った城宮は向かいの家の2階の窓から1人の少女がこっちを見ていることに気が付きます。少女は身体や顔にたくさんの痣を作っていました。
そして少女は城宮に向かって手に握っているBB弾を見せました。城宮は自宅を飛び出して向かいの家の2階に上り少女を抱きかかえて自宅に連れて帰りました。
城宮の自宅で少女は城宮の頬に手を添えながら『パパやん』と言いました。城宮はこの女の子を『ヨヨ子』と名付けました。ヨヨ子(平尾菜々花)と城宮は一緒に暮らし始めました。
ヨヨ子との生活を始める城宮でしたが、もうお金が尽きてしまう寸前で、残金は5000円しかありませんでした。
城宮は十数年ぶりに生まれ育った実家へと仕方なく戻ることにしました。城宮の実家は弁天通商店街で帽子屋を営んでいました。
城宮の母親はすでに他界していて、父親が一人で暮らしていました。城宮がヨヨ子を連れて帰ったので、城宮の父はまさか孫を見るとはと驚きます。
そして城宮に対し自分はもう死のうと思っていると告げました。城宮は驚きますが、父親はちゃんと考えているとのことで、怪しげな男(石橋蓮司)を城宮に紹介しました。
『あとのことはこの人に頼んでいる』と父親は城宮に告げ、男に連れられて父親は去っていきました。商店街の人たちが見送りに来ていますが、父親は『老人ホームに入ることになった』と嘘をついてその男と去っていきました。
城宮はこの実家にヨヨ子と暮らすことになり帽子屋も継ぐことになりました。
そこに現在は警察官になっている幼馴染のマチ(優香)が現れます。
城宮に話しかけるマチでしたがヨヨ子の存在を不審に思います。マチは城宮が会社を辞めて引きこもりになっていたのを知っていて、その間に子供が生まれて育てていたとは考えにくかったからです。
マチは質問をぶつけますが、城宮は『これ任意やろ。だったら答える義務はない』と言ってヨヨ子を連れて家の中に入って行きました。
後日、城宮とヨヨ子が商店街を散歩して帰ってくると、父親を連れて行った男が待っていました。男は線香をあげていきました。
この男は昔からの父親の知り合いで、今回父親は自殺をしたがそのことは表向きは内緒にして、年金を不正受給するということにしていました。男は城宮と少し話をして帰って行きました。
城宮とヨヨ子はほとんどの時間を一緒に過ごします。ヨヨ子はわがままな性格だったので城宮はごめんなさいやありがとうを言うようになど、できる限りしつけていきました。
スーパーに行っている時にヨヨ子がカートで遊んでいると1人の男性(中野英雄)がカートで遊ぶな!と怒ります。
これを見た城宮は子供がちょっと遊んでただけでしょうが!と言い返しますが、これに対して「お前ほんまにこの子の親か?親やったらちゃんと叱らんかい!」と言われます。
マチは時々城宮の様子を見に来ていましたが、ヨヨ子が城宮のことを『パパやん』といってなついているので、本当の子供なのかと思い始めていました。
母親がいないことの理由は気になっていましたが。ヨヨ子は城宮になつき、城宮もヨヨ子を可愛がっていて、そんな日々が続いていました。
マチは城宮にヒーローショーのチケットをあげます。
ヨヨ子の好きな『イマジネーションヒーロー』というヒーローのヒーローショーのチケットでヨヨ子は行きたがります。城宮はマチに礼を言い、ヨヨ子を連れてヒーローショーに行くことにしました。
ヒーローショーに行く当日、マチは私服で現れ自分もついていくと言い3人で行くことになりました。
ヨヨ子は道端に落ちているBB弾を見つけるのが得意で、ヒーローショーに向かう間もBB弾を拾って城宮に渡しました。城宮はそんなヨヨ子の特技に驚いていました。
そして城宮はそのBB弾に色を塗り大切に保管していました。
しかしお祭りに行った時にヨヨ子が迷子になってしまい、マチは警察に協力してもらってヨヨ子を探そうと提案しますが、城宮がその提案を拒絶したことから、マチの中でやっぱり本当の親子ではないのではないかという疑念が再び蘇ります。
マチは城宮の家を訪ね、本当に親子なのかと城宮に訪ねました。城宮はそうだと答えますが、マチを家にあげて父親の骨壺を見せました。
そして父親の年金を不正受給していることをマチに話しました。城宮はこうすることで親子かどうかの問題をはぐらしたかったと思われます。
マチは城宮にちゃんと仕事をするように言い、城宮はその通りに花屋さんでアルバイトを始めました。ヨヨ子はその間保育園に行くことになりました。
花屋さんで雑用をこなしている城宮のところに、カレー屋を営む女性が現れます。城宮はこの女性を見て驚いていて、女性は城宮に近づき『新人さん?よろしくね』と言って缶コーヒーを渡していきました。
城宮は懸命に働きますが、ずっと働いていなかった城宮には仕事内容はなかなかに酷なものでした。
しかもヨヨ子の面倒や家事も行わなければならず、休日出勤も頼まれた城宮は思わず出勤できると答えてしまい、頭を抱えていました。
そんな中、カレー屋の女性がヨヨ子の母親であることに城宮は気が付きました。
城宮は仕事でミスを犯してしまい、若い青年から叱責されます。
城宮はカレー屋に行き、女性にヨヨ子のことを話します。
虐待を疑う城宮でしたが、女性はヨヨ子が自分で自分を傷つけていただけと話します。ヨヨ子には妹がいて不治の病を抱えていました。
ヨヨ子の父親は蒸発していて、母親が一人で養っていました。ヨヨ子は自分が死んで自分の体の中のもの(臓器)を妹にあげてくれといって自分の体を自分で傷つけていたということでした。
そんな行動をやめないヨヨ子に母親も困り果てていて、そこへ城宮がヨヨ子を連れ去って行き、母親はこの一部始終を見ていたが止めることをせずにむしろホッとしたと城宮に告げました。
城宮はこの母親の言っている事は到底理解できず、また納得もできませんでした。
ヨヨ子は保育園でできた友達と遊びに行ってもいいかと城宮に聞きます。
しかしヨヨ子は遅い時間になっても帰宅しません。心配になった城宮は一緒に遊んでいる子も帰宅していないことを知り、自分なりに捜索を開始しました。
怪しいと思った場所に城宮は鉄パイプを持って乗り込みます。ヨヨ子と友達は誘拐されていて、犯人たちは毒蜘蛛と幼児を戦わせる動画を撮って売ろうという悪趣味な撮影を行おうとしていました。
そこに怒り狂った城宮が現れて犯人のアジトをめちゃくちゃにしていきます。常軌を逸している城宮に犯人たちは脅威を感じ一目散に逃げだします。
城宮は無事にヨヨ子とその友達を救い出しました。その友達の親はスーパーでヨヨ子を怒ったおじさんでした。息子が帰ってきて城宮にしきりにお礼を言いました。
城宮はカレー屋で聞いた話が本当かを探るためにヨヨ子に妹のことなどを聞きます。ヨヨ子は母親から『妹のために死んでくれ』と言われていたと城宮に話しました。
この話を聞いて許せないと怒った城宮はカレー屋に行き女性を叱責します。
口論の末、城宮はこの女性を殺害してしまいました。絞殺です。
城宮はカレー屋を後にし、ヨヨ子を連れて奈良の温泉地へと旅行に出かけました。
警察は城宮を指名手配、幼児を人質に取っていると情報が警察内に流れていました。
マチは城宮の父親の自殺を手伝った男から城宮とヨヨ子が本当の親子ではないという事を聞きます。
城宮とヨヨ子は遊園地に来ていて、そこにマチがやってきました。マチは自首するように城宮を説得します。
そこへ城宮の居場所を突き止めた警察が大挙してやってきます。城宮は逮捕されます。
城宮はマチにヨヨ子を頼むとだけ言い残しました。
13年後、城宮は殺害の動機などを一切語らず黙秘を続けていました。面会に成長したヨヨ子がやってきました。ヨヨ子は事件の後に妹も病気で亡くなり施設に入りましたが、ずっと独りぼっちだったと言います。
その後マチが養女として迎えてくれていました。施設にはカラーの漫画が差し入れで入っていて、その漫画を読んでいたヨヨ子は漫画はカラーが当たり前だと思い込んでいました。
この漫画は匿名で差し入れされていましたが、城宮が描いて施設に送ったものでした。
ヨヨ子は周囲から記憶を失くせと言われて育っていて、忘れていたことも多かったのですが、自分の母親を殺害したのが城宮だということを思い出し、城宮に面会に来ていたのでした。
城宮と対面したヨヨ子は記憶を取り戻し…。
ヨヨ子が自分の目標を話すと城宮が涙を流します。
ヨヨ子が話した目標とは…?
結末は本編でご覧ください。
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映画『ごっこ』感想・評価
切ない物語です。正義とはなんなのか、見る立場によって変わってくるものなのではないかと考えてしまうような映画です。
僕はこの映画『ごっこ』は千原ジュニアさんの何かのトーク番組で話しているのを聴いて知ったのですが、この時に『ごっこ』というタイトルまでは言っていなかったのですが、子役の女の子の事をとにかくすごいと絶賛されていて、この『ごっこ』のジャケットを観た時に「ああ!この映画のことだったのか!」と思いすぐに観たといった感じでした。
確かにこの子役の平尾菜々花ちゃんという子すごいです。
このご時世、演技の上手い子役は腐るほどいると思いますが、この平尾菜々花ちゃんは上手いのはもちろんなのですが、子役にありがちな変に礼儀正しいとか子役であるための教育を受けている空気感がまったくないのです。
こういう子が今は本当に稀有であり貴重であると思いますし、目力といい喜怒哀楽の表現といい、本当に演技で魅了してくれます。
映画を観て千原ジュニアさんが絶賛していたのも大いに納得してしまいました。
そして主演の千原ジュニアさんですが、僕は昔からこの人の演技が好きです。
豊田利晃監督の映画に昔から出演されていて、『ポルノスター』『ナインソウルズ』などは特に好きな映画です。
千原ジュニアさんが醸し出す陰の部分が個人的に大好きなのですが、お笑い芸人として大成功を収めているわけですが、引きこもりだった過去を持っていたり、バイク事故で生死の境目を彷徨ったりと、人生経験がものをいう俳優業においてすごい経験を持った逸材だと思います。
今回の映画『ごっこ』でも引きこもってしまう役だったわけですが、やはり経験がある人の演技というのはリアリティが違います。
他のシーンにしても千原ジュニアさんは『演じている感』をまったく出さないので、個人的にこういう芝居をする人を上手いと思うので、俳優専門の人より千原ジュニアさんの方が上手いなぁと思うことが多々あります。作品にもよるのですが。
石橋蓮司さんは僕久しぶりに観た印象なのですが、やっぱり全然違いますよね(笑)
もうなんかすごいの一言です。真似しようとしても出来ないんですよね、こういう人の演技って。
優香さんもいい感じでしたし、キャストの皆さんのおかげで自然と映画に惹き込まれることができます。
清水富美加さんが清水富美加さん名義で出演されていて、そんな時期に撮影していたのだなとしみじみ思いました。この人もいい女優さんだと思うのですが…。
感動と共に考えさせられる映画です。
おすすめ映画です。ぜひ。
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