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映画『モヒカン故郷に帰る』作品情報
今回の絶対おすすめ映画は『モヒカン故郷に帰る』です。
映画『モヒカン故郷に帰る』は地元に数年ぶりに帰り結婚の報告をするバンドマンの物語です。
松田龍平が頭をモヒカンにしてバンドのボーカルストを演じ、彼女役を前田敦子が好演しています。
また松田龍平の両親役を柄本明ともたいまさこが演じ、弟は千葉雄大と非常にキャラの濃い一家となっています。
日本映画ならではのテイストを十分に感じさせてくれる珠玉の一本となっています。
それでは『モヒカン故郷に帰る』の映画紹介です。
映画『モヒカン故郷に帰る』は2016年に公開された日本映画。
上映時間は125分。
監督は沖田修一監督。
『キツツキと雨』『南極料理人』『横道世之介』などを監督しています。個人的にはシュールな笑いが得意な印象の監督です。
キャストは
田村永吉…松田龍平
田村治…柄本明
会沢由佳…前田敦子
田村春子…もたいまさこ
田村浩二…千葉雄大
竹原和夫…木場勝己
会沢苑子…美保純
野呂清人…小柴亮太
清水…富田望生
ほか。
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映画『モヒカン故郷に帰る』ネタバレ・あらすじ
田村永吉(松田龍平)はデスメタルバンド『断末魔』のボーカリストです。
永吉は東京に上京してきてモヒカンのヘアスタイルでバンド活動に精を出していました。
CDを出してはいるものの、バンドだけで生活していくことはできず、恋人のネイリスト会沢由佳(前田敦子)と同棲しながら生活の面倒を見てもらいつつ暮らしていました。
この日もライブを行った『断末魔』でしたがいまいちパッとしない自分たちに将来に不安を感じつつ、楽屋でこの先について話していました。
永吉と由佳の間には子供が出来ていました。結婚の報告をするために永吉は由佳を連れて実家に帰省することにします。
永吉の実家は広島県の瀬戸内海にある離島、戸鼻島でフェリーに乗らなければ行けない場所でした。
由佳は行ったことのない地に観光に行けるということで喜んでいました。
フェリーに乗って戸鼻島に向かっている時に、由佳が永吉に何年ぶりに帰省するのかと尋ねると、永吉は指を折って考えはじめ6,7年ぶりと答え由佳を驚かせます。
永吉の父である田村治(柄本明)は中学校の吹奏楽のコーチをしていました。
矢沢永吉の大ファンで、教えている吹奏楽部にも矢沢永吉の曲を演奏させていました。
曲は『アイラブユーオーケー』でした。しかし吹奏楽部の人数はかなり少なく、部員の清水(富田望生)は少ない人数で演奏するには無理があると治に告げていました。
永吉と由佳は島に到着し自宅へと向かいます。永吉の実家は酒屋を営んでいました。
自宅に永吉が入ると弟の田村浩二(千葉雄大)がぼーっとしながらご飯を食べていました。
永吉が突然現れたので浩二はびっくり仰天し母親の田村春子(もたいまさこ)を大声で呼びます。浩二は実家を出ているはずだったので、浩二がいることに永吉は驚いていました。
浩二は仕事で広島市内に出ていくものの、挫折しやすい性格ですぐに実家に帰ってきてしまう癖がありました。
ちょうど父親の治が酔いつぶれていて春子は介抱していました。
永吉が突然帰省してきて驚きますが、永吉は電話したじゃないかと言うものの誰にも話が通っていない様子でした。
春子は熱狂的な広島カープのファンでした。
由佳を隣に座らせて永吉は子供が出来たことを報告します。
はっきり喋らない永吉ははっきりするように言われて子供ができたことを報告、春子は驚きます。
治は永吉に仕事について質問しますが、永吉がいい加減な返答をしたために怒って永吉を追いかけまわします。しかし腰を痛めてしまい、治は痛がりながらその場から去ってしまいました。
治は電話をかけていました。宴会をやると言って仲間を集めはじめます。堅物な印象の治でしたが、孫が出来たことが嬉しかったようです。
戸鼻島の人間たちが集まり宴会がスタートしました。もう大騒ぎです。
永吉は飲み過ぎてトイレで吐いていました。戻ろうとする時に父親の治が倒れているのを発見しました。
介抱しようとすると治は救急車を呼ぶように頼んできます。ただ事ではないと思い永吉は救急車をすぐに呼び、治は救急車によって病院へと運ばれていきました。
病院に運ばれた治は検査を受けます。担当は治の幼い頃からの友達である竹原和夫(木場勝己)です。竹原は検査の結果を治以外の家族に告げました。
治は肺がんでした。またすでに全身への転移が認められていて末期がんの状態であることが告げられました。
家族は突然のことにショックを受けてどうしたらいいかもわからない状態になりました。
病室で治を取り囲んでいると弟の浩二が泣き出してしまいます。
春子は治に悟られまいと浩二に水を買ってくるように頼んで病室の外に出しました。
浩二は何本買ってくればいいのかを聞き、春子がみんなの分と答えると「持てるだろうか?」と不安げな顔をして病室を出ていきました。
すると春子も感極まって泣き出してしまい、自ら水を買ってくると言って病室を出ていきます。治は「どれだけ水を買うんや」と突っ込みながら春子を見送りました。
治は永吉と由佳に向かって「がんか?」と聞きます。由佳は首を横に振りましたが、永吉は性格上隠し事ができないので首を縦に振って頷きます。
2人が違うリアクションをしたので治は「どっちや」と突っ込みます。
すると対面に入院している患者が呼び鈴を鳴らしてイエスであると伝えて、治は自分ががんであることを知りました。治は布団の中に潜り込んでしまいました。
浩二は自宅で肺がんの権威の医者の情報を調べ、この先生に診てもらおうと提案します。
しかしその医者がいるのは大阪で春子は通えるところにお世話になっていたほうがいいと話します。永吉は浩二の意見に賛同しました。
治自身は幼馴染の竹原に治療をしてもらうことを希望しました。
治は入院している病院は吹奏楽を教えている中学校の隣でした。
そのため治は中学校の屋上に吹奏楽部の部員を集めて、自分は病院の屋上から指揮棒を振り演奏させました。指示がある時は携帯電話で伝えました。
吹奏楽部には唯一の男子部員の野呂清人(小柴亮太)がいました。
演奏ではいつも足を引っ張ってしまっていました。
治は練習が終わったら病院に来るように野呂に告げます。野呂は家族とかっぱ寿司に行くから無理だと言いますが、治は怒って必ず来るように言いました。
部員の清水が海風で楽器が錆びると治に伝え、治は練習を終了しました。
病室に島の人間が集まって治を元気づけてくれます。しかし治は居心地の悪さを感じたのかトイレに行くと言って病室を出てしまいます。
屋上に行き永吉からタバコをもらって吸ってみるものの、「いかん、肺に入らない」と言って諦めました。永吉はそれを見て笑います。
治は永吉が吹奏楽部にいた頃の話をします。永吉がいた頃は吹奏楽部は20人ほどいました。現在は半分の10人ほどしかいませんでした。
永吉は治の主治医の竹原と春子から怒られ、家族は自宅へと帰りました。
治は野呂を可愛がっているのかたまに顔を出すように言いました。
由佳は仕事がネイリストなので春子にネイルを施してあげました。春子と由佳はこの時お互いのことを話し絆を深めていきました。
野呂が病室にいますが家族も勢揃いの中で気まずくなって用事があるから帰ると言います。
理由はまたしてもカッパ寿司に行くからとのことで治は思わず「お前どれだけかっぱ寿司好きなんだ」と突っ込みます。
永吉が野呂の後を追い車で送ってあげます。野呂は怖くて逃げ回りますが永吉が追いかけてようやく車で野呂の家へと向かいました。
野呂は車の中で永吉に「コーチってがんなんですか?死んじゃうんですか?」と訊ねます。
永吉は「俺も最近知ったんだよね。やっぱり親って死ぬんだなぁって。」と答えました。
永吉は野呂になにができるんだろうと聞きます。野呂は「そばにいるだけでいいんじゃないですか」と答えました。
車の中では永吉が自分のバンドである断末魔のCDをかけていました。曲を聴いていた野呂が「このバンドかっこいいですね」と言うと永吉は嬉しそうに「君わかってるね!」とテンションを上げました。
翌日永吉と由佳は帰京するためにフェリーに乗ります。浩二も一緒に乗ります。
しかし永吉は野呂の「そばにいるだけでいいんじゃないですか」という言葉がひっかかり、結局他の島の観光に由佳を連れて行った後に由佳とともに実家に帰りました。
永吉はできる限り治のそばにいようと決心しました。永吉は定職に就いていなかったし、由佳は妊娠したためにネイルのお店を辞めたばかりだったので、2人には時間がありました。
由佳は戸鼻島の産婦人科に検診に行きます。永吉はバンドメンバーに電話してまだ帰れないと伝えました。そして「大切なことがわかった」と言い、メンバーに「健康が第一なんだよ」と伝えたのでした。
治が退院して自宅で療養することになります。電動ベッドに治は横たわり、介護士の人にも来てもらいました。
永吉は治に紙とペンを渡し、やいたいことや会いたい人などを書くように言いました。
治は困惑します、すぐには思い浮かばないようでした。
やりたいことの例えとして各々が言った答えは、春子が「1年でいいからカープを牛耳りたい」、由佳は「イルカに乗りたい」、介護士のおばさんは「恋がしたい」と言い、介護士の答えにはみんな驚きを隠せずにいました。
治は大ファンである矢沢永吉に会いたいとメモに書きました。永吉は叶えるのが難解な願いに心の中で困っていました。
春子は由佳に料理を教えてあげます。由佳の作った料理はとても好評でした。
お墓参りに出かけた時に治が突然ピザを食べたいと言い出します。
治は還暦のお祝いの時に食べたピザがとっても美味しかったからそのピザを食べたいとのことでした。手掛かりは安川という地で食べたということと赤い箱だったという事だけでした。
永吉は願いを叶えるべく安川にある3軒のピザ屋に注文をします。
島への配達は行っていないため断られてしまいますが、永吉は「父ががんなんです」というセリフを連呼して無理やりデリバリーを頼みました。
ピザハット、ピザーラ、ピザファクトリーの3店が島に配達にやってきます。フェリーで来るしかないので3店ともフェリーの中で遭遇してしまい妙な雰囲気に包まれていました。
フェリーが島に到着すると3人はそれぞれバイクを飛ばして配達にやってきました。
かなりの枚数のピザを前に治がピザを食べ始めます。永吉は玄関先で会計をします。永吉は感謝の気持ちを込めてピザ屋の配達員を1人1人抱きしめました。
春子と治は永吉がここまでやってくれていることに報いるために、実感はないものの「これだ!このピザだ!」と芝居をして治は一心不乱にピザを貪ります。
その声に反応した永吉とピザ屋の3人はその様子を見て歓喜のガッツポーズをしたのでした。
中学校の吹奏楽部の生徒たちが治に指揮を頼みに来ますが、治は行ける状態ではないため代わりに永吉が行くことになりました。
永吉は指揮をしながら段々乗ってきて、部員たちに演奏している曲をパンクロックのようなノリに変えて演奏させます。
永吉も部員たちも生き生きして楽しそうにしていましたが、携帯電話で演奏を聴いていた治は怒り、永吉にもう東京へ帰れと告げました。
治は永吉が優しくするのがこれまでのことを振り返ると非常に不自然なことで、優しくされると明日にでも永眠しそうな気がすると言い、東京に帰るように言います。
永吉はそれでも自分の気持ちを優先してそばにいようと思っていました。
治が倒れているのを発見した永吉は治が血を吐いていることに気が付きました。治は心配かけたくないから春子には言わないでくれと永吉に頼みます。
治は車いすに乗るようになっていました。投薬の影響で意識がはっきりしておらず永吉に対して「お前練習はどうした」と聞いたりと永吉の子供時代を見ているようでした。
またお腹の大きくなってきた由佳を見ては妻の春子の友達かと聞いていました。
治は永吉に「東京に行ってビッグになれ。そのためにその名前にしたんじゃ」と言いました。これを聞いた永吉は誰にも見られないところでこっそり泣いていました。
永吉は治の意識が朦朧としていることを利用し、白のスーツの上下に白のハットを目深にかぶり、矢沢永吉のふりをして寝ている治の元に行きました。
永吉は矢沢永吉のフリをして治に話しかけ、吹奏楽の演奏も聴かせてもらいましたと言いました。
矢沢永吉だと信じ込んでいる治は驚愕し「日本武道館のライブ、目合いましたよね」とやっと言葉を発しました。
永吉はこの治の言葉にうなずきました。治はあまりの喜びから突然大声で叫びだします。何事かと春子と由佳が駆けつけてきて、矢沢永吉に扮した永吉は慌てて隠れたのでした。
治の様子を見に主治医の竹原が訪れた時に、治は永吉の結婚式について尋ね、見たいなぁと思いを口にしました。永吉はお金がないから無理と返答します。
しかしもう幾ばくも無いであろう治の願いなだけに、その場にいた人たちは永吉を見つめ、永吉はプレッシャーに負けて結婚式を行う決断をしました。
由佳の母親である会沢苑子(美保純)たちが戸鼻島にやってきました。
結婚式は治の容態を考慮して病院で行われることになりました。晴れるといいねと話していた両家でしたが当日は生憎のどしゃ降りとなってしまいました。
治は横になったまま運ばれてきます。服装は結婚式仕様になっていました。
大雨のせいでフェリーが欠航になってしまい、牧師が来れなくなってしまいます。
しかし病院に入院しているおばさんがシスターだと名乗り出てくれて、急遽牧師役を頼むことになりました。吹奏楽部のメンバーも演奏のために駆り出されました。
吹奏楽部唯一の男子部員で気弱な野呂は永吉の影響を受けて頭をモヒカンにしていました。
髪を切ることだけは絶対に言い張る永吉は結婚式ももちろんモヒカンのままでした。
結婚式が進んでいき新郎新婦が誓いのくちづけをする段階で、治の容態が急変してしまいます。
慌ててストレッチャーで運び出そうとみんなで協力しますが、あまりに慌てたため全員転んでしまい、治を乗せたストレッチャーは誰の補助もないまま滑っていき壁に激突してしまいました。
時が経過し、治の四十九日が執り行われました。
永吉と由佳は東京へと戻ることにします。フェリーに乗り込むと春子と浩二が見送りに来ていました。
永吉は海上のフェリーの上から「ビッグになって帰ってくるから!」と叫びました。
春子はこの永吉の宣言に対してある言葉を返します。
春子が返した言葉は本編でご確認ください。
映画『モヒカン故郷に帰る』感想・評価
映画『モヒカン故郷に帰る』ですが、かなり最高の映画でした。
笑いあり感動ありの大満足の映画でした。
沖田監督の映画は『キツツキと雨』がとても好きなのですが、この映画とも共通していて笑いの入れどころが本当に上手いなと『モヒカン故郷に帰る』でも強く思いました。
もちろん俳優の力によるところも大きいのですが、監督の演出の素晴らしさも間違いなく輝いています。
キャストの皆さんが本当にいい感じにキャラが立っていて最高です。
松田龍平さんは自分のキャラクターを活かして無理していない中でデスメタルバンドのモヒカンのボーカル役を演じていて、変にキャラクターを作っていないところが人間味があってすごく魅力的でした。
すごく自然なお芝居に脱帽です。
柄本明さんはこの役にぴったりというか一回『モヒカン故郷に帰る』を鑑賞してしまうと、もう柄本明さん以外にこの役は考えられないぐらい素晴らしかったです。
もたいまさこさんも独特で真似のできない包容力を醸しだしていて、稀有な女優さんであることを思い知らせてくれます。
前田敦子さんですが、この人は他の映画でもすごくいい女優さんだとずっと思っていまして。
映画『苦役列車』でもいいお芝居で魅了してくれていて、今回の『モヒカン故郷に帰る』でもとても魅力的でした。
メイクのすごく薄い役柄なのですが、赤ちゃんかと思うぐらい童顔なんですね、知らなかったです。
千葉雄大さんも絶妙な間とセリフで笑わせてくれました。
人気俳優でイケメン枠にカテゴライズされている千葉雄大さんですが、演技も面白くて、変顔とかじゃない良質な笑いを生む演技のできる俳優さんだと思っていて好きな俳優さんです。ちゃんとリアルな芝居の中で笑わせてくれるのです。
他の出演者の方々もみんな魅力的で、皆さんが生き生きしているのが印象的でした。監督の手腕によるところもきっと大きいと思います。
木村拓哉さん主演のドラマ『教場』で好演していた富田望生さんが出演されていて、やはりしっかり印象を残していてさすがだなぁと思ってしまいました。
笑いもあって感動もしてとにかくハートフルな映画となっています。
すごくいい映画だと思います。
ぜひ一度ご覧いただきたい映画です。
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