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映画『あん』作品情報
今回の絶対おすすめ映画シリーズは『あん』です。
映画『あん』は本当に素晴らしい作品で、感動はもちろん、演技の上手い俳優の共演はここまで惹き込まれるのかと実感できる映画です。
物語も非常に心に響く作品となっています。
樹木希林さんと永瀬正敏さんの演技が本当に日常を覗いているような自然すぎる演技です。
樹木希林さんの追悼上映で最近再び映画館で上映もされている作品です。
それでは『あん』の映画紹介です。
映画『あん』は2015年に日本公開された日本・フランス・ドイツ合作映画です。
上映時間は1時間53分。
原作はドリアン助川の同名小説。指定図書(中学・高校の部)に選定されています。
監督は河瀬直美監督。
【キャスト】
吉井徳江…樹木希林
千太郎…永瀬正敏
ワカナ…内田伽羅
佳子…市原悦子
どら春のオーナー…浅田美代子
ワカナの母…水野美紀
陽平…太賀
若人…兼松若人
永瀬正敏さん出演作につまらない作品なしという僕の定説がこの映画でも崩れることはありませんでした。
映画『あん』ネタバレ・あらすじ
小さなどら焼き屋を一人で切り盛りしている寡黙で朴訥な男・千太郎(永瀬正敏)。
愛想はないが女子中学生のたまり場ともなっているどら焼き屋で、女子中学生たちからも愛されている千太郎。
そこへ突然、大きなサングラスをした徳江(樹木希林)がやってくる。
徳江はどら焼き屋に貼られている求人広告を見て、「年齢不問って書いてあるけど、私でも雇ってもらえますか?」と千太郎に尋ねます。
76歳の徳江の申し出に、千太郎は断る理由として時給の安さを徳江に伝えますが、徳江は時給300円でいいから働かせてほしいと懇願します。
千太郎は困惑しますが、無理ですと伝えます。徳江はまた来るわねと言い残し店を去っていきます。
その様子を見ていた女子中学生ワカナ(内田伽羅)はどら焼き屋の常連。
千太郎は慣れた手つきで作るのに失敗したどら焼きをワカナに渡します。
ワカナは慣れた手つきでできそこないのどら焼きたちを持参したビニール袋に入れて店を後にします。
後日、徳江が再び店を訪れます。
千太郎にビニール袋を渡し、50年あんを作ってる、あんは気持ちが大切、食べてみてと告げて店を後にします。
ビニールの中にはつぶあんが入っていました。
最初は興味を示さなかった千太郎ですが、おもむろに指ですくい徳江のつぶあんを食べます。
表情の変わる千太郎。つぶあんを食べ続ける千太郎。
千太郎はワカナとの会話の中で、徳江のつぶあんがびっくりするほど美味しかったことを興奮気味に伝えます。
ふたたび徳江が店を訪ねてきます。
千太郎は徳江に、お店を手伝ってくれませんか?と伝えます。
徳江は私働けるのね、と涙を流し喜びます。
つぶあんの仕込みからやることになった徳江は、お天道様が顔を出す前からつぶあんを仕込みますと千太郎に伝えます。
辺りが真っ暗な中、眠そうにアパートを出て店に向かう千太郎。
店に着くとすでに徳江が待っていました。
2人のあん作りがスタートします。
徳江に指示を出されながらあん作りに励む千太郎。細かい部分まで徳江は千太郎にあん作りを教えていきます。
ようやくあんが完成し、熱いままのどら焼きを頬張る2人。
おいしいねぇ店長さん、と顔がほころぶ徳江。
千太郎は、初めて食べきれるどら焼きと出会ったと徳江に話します。
徳江が驚きどういうことか尋ねると、千太郎は自分が甘党じゃなく、今まで一つ食べきることができなかったと話します。
徳江はさらに驚き、なぜどら焼き屋をやっているのか尋ねますが、千太郎は微笑むだけで答えはしませんでした。
つぶあんが変わったどら焼きは瞬く間に近所で評判になり、店は行列ができる繁盛店になります。徳江は嬉しそうにお店で働いています。
そんな中、どら焼き屋のオーナー(浅田美代子)が店にやってきます。
オーナーは知り合いから聞いたんだけど…と千太郎に話し始めます。
「その知り合いが言うには、徳江さんがライ病なんじゃないかってことなの」と。
ライ病とは別名ハンセン病と言われる病気で、昔は患ってしまうと一生隔離される病気でした。
オーナーは徳江の履歴書を見せるように千太郎に言い、履歴書の文字を見てライ病患者の書く文字と同じだと千太郎に告げます。
そして住所を確認したオーナーは、この場所はライ病患者を隔離している療養所の住所であることを千太郎に告げ、徳江を辞めさせるように千太郎に命令します。
千太郎は少し時間をくださいとオーナーに頼みました。
次の日、いつものように一生懸命にあんを作る徳江を優しい瞳で千太郎は見ていました。
そして千太郎は徳江に、接客もやってください!徳江さんの自由にやってください!と言います。千太郎は徳江を守ろうと決めていました。
しかし、どら焼き屋にはお客さんがまったく来なくなってしまいます。
徳江の病気の噂が広まってしまったためでした。
責任を感じた徳江はいつものように店を出て、それからお店には来なくなってしまいました。
一人で店に立つ千太郎。そんな千太郎に徳江から手紙が届きます。
「私はあんを作る時、いつも小豆の言葉に耳を傾けていました。
柊が店長さんに声を掛けろと言うのです。迷惑をかけてごめんなさい」という内容でした。
千太郎はワカナに誘われ、徳江に会いに行きます。
隔離された療養所で自分がここに連れてこられた時の事、療養所のお友達佳子(市原悦子)は働けた徳江を羨ましがり、徳江は千太郎にどら焼き屋で働けて本当に楽しかったと告げます。
泣きながら徳江の話を聞く千太郎。千太郎は徳江を守れなかった自分を責め続けていました。
千太郎は徳江に手紙を書きました。
自分の過去を徳江に伝えました。酒場で働いている時に喧嘩の仲裁に入り、結果的に暴力を振るってしまい、相手に重い障害を負わせてしまったことを。
しかし千太郎が再び療養所を訪れると、徳江の友人佳子から徳江が亡くなったを千太郎は知らされます。
徳江はカセットテープに言葉を吹き込んでいました。
徳江が残した言葉とは…?
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映画『あん』感想・評価
本当に大好きな映画になりました。
一度観た時から好きな映画だったのですが、樹木希林さんが他界してしまった今この映画を観返すと、更に涙が止まらなくなってしまいました。
樹木希林さん、可愛らしくて全てを包んでくれるような空気感を持っていて、おばあちゃん子だった僕としては本当に愛くるしくもあり、そしてやはり演技の面でもただただ凄さを痛感させられます。
永瀬正敏さんと樹木希林さんの掛け合いは、これこそ演技の、芝居のあるべき姿だと痛感させられます。
恐ろしいほどにリアルです。
何気ない会話が、この二人が演じると観ていて何度もクスリとさせられてしまいます。
奇をてらうとかそういうことではなく、リアルさがとにかく面白いのです。
演技の上手い人達の掛け合いはこんなにも面白いものかと久しぶりに実感しました。
きっと観た人にはわかると思いますが、テレビドラマや並みの役者の演技ばかりを観ている人には、この上質な演技の掛け合いを本当に観て体験してほしいです。
ただ生きているんです、演じているのではないんです。
なので余計な事は一切しないで、観る者を笑わせ、大いに感動させてくれるのです。
そして作品としてももちろん、胸を張ってお薦めできる映画です。
胸が痛くなる、考えさせられる、そして感動する映画。
ワカナを演じた内田伽羅さんは樹木希林さんの孫です。僕は知らずに観て後から知りました。
とにかく、樹木希林さんと永瀬正敏さんの掛け合いを観て、上質の演技とはこういうものだと知ってもらいたい、感じてもらいたいと願うのです。
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